研究概要 |
本研究の目的は,義足の100m走選手に焦点をあて,100m走中の速度曲線を測定し,速度変化の特徴を明らかにすることであった。対象とした選手は,ロンドンパラリンピック陸上競技短距離走(T44クラス)代表選手2名を対象とした。測定は,2012年11月4日(中京大学梅村陸上競技場)および2013年3月23日(愛知淑徳大学陸上競技場)に実施した。選手の疾走速度は,レーザー速度計測システム(FLM-ST01,フォーアシスト社製)を用いて,選手の後方5mの地点に設置し,100Hzで測定した。レンズ高は,地上から0.5mの高さとした。選手が発揮した疾走速度を分析したところ,2名の選手の全ての試技において,100m走後半に疾走速度の低下が見られ,その特徴は,健常選手の速度低下と類似した傾向を示した。これまで義足の選手は,疲労による速度低下は少ないと考えられてきたが,T44クラスの選手では,100m走後半の疲労に対する疾走技術も重要な要因になることが明らかになった。
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