研究概要 |
有機性廃棄物(家畜ふん堆肥)を利用した鉛不溶化と土壌生態系の回復を同時に満たすことができる鉛汚染土修復技術の確立するため,鉛-有機物-リンの複合系における鉛不溶化機構の解明を試みた.加えて,鉛不溶化物の形成後の形態をモニタリングすることも行った.無機物(リン)を多く含む堆肥ほど,逐次抽出法による残渣態鉛が増加し,有機物複合態鉛は原土と同程度であった.したがって,鉛-有機物-リン複合系における鉛の不溶化は,有機物の存在に大きな影響を受けず,鉛-リン不溶化物を形成することが示唆された.デヒドロゲナーゼ活性は,堆肥に有機物が多く含まれることで原土よりも高くなった.また堆肥によって不溶化された鉛の99%以上が土壌中で安定的に存在したことが推察された.本研究の成果より,無機物にリンを多く含み腐熟の進んだ有機物で構成される有機性廃棄物は,鉛不溶化と同時に生態系の回復も可能であることが示唆された.
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