研究課題
若手研究(B)
本研究は、日本の詳細な家計調査データを利用し、個人の雇用・所得と健康状態との相関・因果関係を定量的に把握する為、(1)労働市場からの退出(=退職)が健康投資行動へ与える影響、(2)健康不平等と所得分布との相関関係、の二つのテーマに関する実証研究を行った。第一のテーマに関しては、(1)退職者は、そうでない人と比べて、一日当りの喫煙本数を2.3本程度減少させ、定期的な運動の頻度を55%程度増加させる一方、反対に飲酒頻度を20%程度増加させる傾向になる事、(2)「正規雇用からの退職」と労働市場からの完全に退出する「完全退職」を比べた場合、喫煙本数に与える影響は、前者の影響の方が後者より大きい、飲酒や運動の頻度に与える影響は、前者の影響の方が後者より小さい事、等が明らかになった。第二のテーマに関しては、(1)自己申告によって評価された健康状態が平均的に低下しつつあるばかりか、高所得層と低所得層との間の健康格差が増加しつつある事、(2)(平均、分散、最頻値などの統計量から)所得と健康の間に大きな相関関係が存在し、その傾向が年齢層ごとに異なっている事、等が明らかになった。高齢化が進む一方で、健康状態が平均的に悪化する傾向は、医療・社会保障費増大を招きかねず今後の日本における深刻な問題提起となる可能性がある。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (11件) 備考 (1件)
Journal of Health Economics
巻: 32(2) 号: 2 ページ: 367-385
10.1016/j.jhealeco.2012.11.007
早稲田大学WIAS ディスカッション・ペーパー
巻: 2011-005 ページ: 1-42
Journal of Japanese and International Economicsにて審査中
巻: 審査中
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