イヌ乳腺腫瘍細胞への新規分子標的薬投与による化学療法の臨床応用研究

• 研究課題/領域番号: 23780318
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 基金
• 研究分野: 臨床獣医学
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 渡邊 学 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (70376606)
• 研究期間 (年度): 2011 – 2012
• 研究課題ステータス: 完了 (2012年度)
• 配分額: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円); 2012年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円); 2011年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
• キーワード: 乳腺腫瘍 / 網羅的遺伝子発現解析 / 化学療法 / 分子標的薬 / 伴侶動物 / イヌ ネコ トランスレーショナルリサーチ / イヌ / ネコ / トランスレーショナルリサーチ / 網羅的抗癌剤感受性解析 / 乳癌

研究概要

本研究において、抗癌剤の感受性解析により、イヌ・ネコ乳腺腫瘍への化学療法を目指すことを目的とし、一連の研究結果より両種の乳腺腫瘍において、ラパチニブ、ダサチニブが良好な抗腫瘍効果を示すことを実証した。この成果の意義として、これまで標準レジメンの確立されていない同疾患に対して、治療効果の期待できる新規治療法の可能性を示すことができ、これらの抗癌剤の治療導入は寛解率の上昇に大きく貢献すると考えられる。抗癌剤25種類への抗癌剤の感受性の相違および分類と抗癌効果の傾向を見出すことができた。また、臨床応用可能と考えられたラパチニブは、細胞株に投与後、網羅的遺伝子発現解析により発現変化する遺伝子群の同定を行うことができ、同抗癌剤投与による分子機序の一端を解明することができた。また、ネコ乳腺腫瘍細胞株では転移に関連する上皮間葉移行(EMT)のマスター因子であるsnailの発現が見られたことより、同分子の遺伝子ノックダウン後、抗癌剤を投与による感受性の差を見出した。この結果はEMTによる癌転移において転移巣で効果のある抗癌剤を示すことができたと考えられ、悪性度の高いネコ乳腺腫瘍の化学療法において有用な成果を示すことができた。これらの成果を元に、ラパチニブおよびダサチニブのトランスレーショナルリサーチを行うべく、同抗癌剤の安全性試験を実施している。至摘投与濃度を決定後、実際の臨床症例に治験を行うことで、本研究の成果を実際に臨床応用し治癒率の上昇を目指す。

研究成果

• [雑誌論文] Validation of the prognostic value of histopathological grading or c-kit mutation in canine cutaneous mast cell tumours: a retrospective cohort study (2013)
  • 著者名/発表者名: Takeuchi Y, Fujino Y, Watanabe M, Takahashi M, Nakagawa T, Takeuchi A, Bonkobara M, Kobayashi T, Ohno K, Uchida K, Asano K, Nishimura R, Nakayama H, Sugano S, Ohashi Y, Tsujimoto H
  • 雑誌名: Vet J 巻: 196 号: 3 ページ: 492-498
  • DOI: 10.1016/j.tvjl.2012.11.018
  • 査読あり
• [雑誌論文] Validation of the prognostic value of histopathological grading or c-kit mutation in canine cutaneous mast cell tumours: A retrospective cohort study (2013)
  • 著者名/発表者名: Takeuchi Y, Fujino Y, Watanabe M, Takahashi M, Nakagawa T, Takeuchi A, Bonkobara M, Kobayashi T, Ohno K, Uchida K, Asano K, Nishimura R, Nakayama H, Sugano S, Ohashi Y, Tsujimoto H.
  • 雑誌名: Vet J. 巻: 196 ページ: 492-498
  • 査読あり
• [雑誌論文] Regulation of expression of ABCB1 and LRP genes by mitogen-activated protein kinase/extracellular signal-regulated kinase pathway and its role in generation of side population cells in canine lymphoma cell lines. (2013)
  • 著者名/発表者名: Tomiyasu H, Watanabe M, Goto-Koshino Y, Fujino Y, Ohno K, Sugano S, Tsujimoto H.
  • 雑誌名: Leuk Lymphoma. 巻: 54 ページ: 1309-1315
  • 査読あり
• [雑誌論文] Regulation of the expression of ABCB1 and LRP genes by MAPK/ERK pathway and its role in the generation of side population cells in canine lymphoma cell lines. (2012)
  • 著者名/発表者名: Tomiyasu H, Watanabe M, Goto-Koshino Y, Fujino Y, Ohno K, Sugano S, Tsujimoto H.
  • 雑誌名: Leuk Lymphoma 巻: (Epub ahead of print) 号: 6 ページ: 1309-1315
  • DOI: 10.3109/10428194.2012.751529
  • 査読あり
• [雑誌論文] Mammary Lipid-Rich Carcinoma with Extensive Amyloid Deposition in a Dog (2012)
  • 著者名/発表者名: Tei M, Uchida K, Chambers JK, Harada H, Takahashi M, Nishimura R, Watanabe M, Nakayama H
  • 雑誌名: JVet Med Sci. 巻: 74 ページ: 809-811
  • NAID: 130002090078
  • 査読あり
• [雑誌論文] Mammary Lipid-Rich Carcinoma with Extensive Amyloid Deposition in a Dog. (2012)
  • 著者名/発表者名: Tei M, Uchida K, Chambers JK, Harada H, Takahashi M, Nishimura R, Watanabe M, Nakayama H.
  • 雑誌名: J Vet Med Sci. 巻: 掲載確定
  • NAID: 130002090078
  • URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/advpub/0/advpub_11-0482/_article
  • 査読あり
• [雑誌論文] 次世代型シークエンサーを用いたイヌ舌組織由来遺伝子群の発現解析および味覚に関する遺伝子構造の解析 (2012)
  • 著者名/発表者名: 渡邊学 チェンアイリス 森美香子 上野絵美 中村好孝 薮本恵美子 阿部佳澄 椿真理 今村清美 関森悦子 西澤理絵 若栗浩幸 中川貴之 望月学 西村亮平 佐々木伸雄 鈴木穣 菅野純夫
  • 雑誌名: ペット栄養学会誌 巻: 15 ページ: 1-6
  • NAID: 40019299268
  • 査読あり
• [学会発表] シンポジウム医学と獣医学のクロストーク-分子標的薬による悪性腫瘍治療-医学領域における癌の分子標的薬の現状(II-A-32) (2013)
  • 著者名/発表者名: 渡邊学
  • 学会等名: 第9回日本獣医学内科アカデミー学術大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜神奈川県
  • 年月日: 2013-02-24
• [学会発表] イヌの肥満細胞腫瘍細胞株を用いた網羅的抗癌剤感受性解析 (2013)
  • 著者名/発表者名: 橋本浩一 渡邊 学 後藤裕子 藤野泰人 大野耕一 菅野純夫 辻本 元
  • 学会等名: 第155回日本獣医学会学術集会
  • 発表場所: 東京大学（東京都）
• [学会発表] イヌ組織球性肉腫細胞におけるEMR4の機能解析およびシグナル探索（10-09） (2013)
  • 著者名/発表者名: 坪井誠也 井手鉄哉 渡邊 学 内田和幸 菅野純夫 中山裕之
  • 学会等名: 第9回 日本獣医学内科アカデミー学術大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（神奈川県）
• [学会発表] シンポジウム 医学と獣医学のクロストーク －分子標的薬による悪性腫瘍治療－ 医学領域における癌の分子標的薬の現状（II-A-32） (2013)
  • 著者名/発表者名: 渡邊 学
  • 学会等名: 第9回 日本獣医学内科アカデミー学術大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（神奈川県）
  • 招待講演
• [学会発表] 伴侶動物の乳癌における 網羅的抗癌剤感受性解析 (2012)
  • 著者名/発表者名: 木村絵里 渡邊学 萱橋朋子 西出彩花 川畑実香 山崎薫 野澤恵里 松下智紀 山本実加子 チェン アイリス 菅野純夫
  • 学会等名: 第71回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 札幌教育文化会館北海道
  • 年月日: 2012-09-19
• [学会発表] ネコ乳腺腫瘍細胞株を用いた上皮間葉転換関連分子のタン パク発現および抗癌剤感受性解析(HS-32) (2012)
  • 著者名/発表者名: 萱橋朋子 渡邊学 西出彩花 Chen Iris 山崎薫 野澤恵里 川畑実香 木村絵里 中川貴之 望月学 西村亮平 佐々木伸雄 菅野純夫
  • 学会等名: 第154回日本獣医学会学術集会
  • 発表場所: 岩手大学岩手県
  • 年月日: 2012-09-15
• [学会発表] イヌ乳腺腫瘍細胞株を用いた網羅的遺伝子・タンパク発現解析による分子病理の解明(BP-39) (2012)
  • 著者名/発表者名: 萱橋朋子 渡邊学 西出彩花 Iris Chen 山崎薫 川畑実香 野澤恵里 中川貴之 望月学 西村亮平 佐々木伸雄 菅野純夫
  • 学会等名: 第153回日本獣医学会学術集会
  • 発表場所: 大宮ソニックシティ埼玉県
  • 年月日: 2012-03-29
• [学会発表] イヌ乳腺腫瘍細胞株を用いた網羅的抗 癌剤感受性解析 (2012)
  • 著者名/発表者名: 萱橋朋子 渡邊学 西出彩花 チェン アイリス 野澤恵里 山崎薫 川畑実香 中川貴之 望月学 西村亮平 佐々木伸雄 菅野純夫
  • 学会等名: 日本獣医内科学アカデミー/日本獣医臨床病理学会2012年大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜神奈川県
  • 年月日: 2012-02-18
• [学会発表] ネコ乳腺腫瘍細胞株を用いた上皮間葉転換関連分子のタンパク発現および抗癌剤感受性解析（ＨＳ-32） (2012)
  • 著者名/発表者名: 萱橋 朋子 渡邊 学 西出 彩花 Chen Iris 山崎 薫 野澤 恵里 川畑 実香 木村 絵里 中川 貴之 望月 学 西村 亮平 佐々木 伸雄 菅野 純夫
  • 学会等名: 第154回日本獣医学会学術集会
  • 発表場所: 岩手大学（岩手県）
• [学会発表] イヌ肥満細胞腫細胞株を用いた網羅的タンパク発現およびリン酸化解析 (2012)
  • 著者名/発表者名: 川畑 実香 渡邊 学 チェン アイリス 坪井 誠也 橋本 浩一 中川 貴之 望月 学
  • 学会等名: 第154回日本獣医学会学術集会
  • 発表場所: 岩手大学（岩手県）
• [学会発表] BCG01タンパク投与による抗腫瘍効果の検討 (E-1092) (2012)
  • 著者名/発表者名: チェンアイリス 渡邊学 森美香子 西出 彩花 野澤 恵里 川畑 実香 山崎 薫 山本実加子、木村絵里 松下 智紀 菅野 純夫
  • 学会等名: 第71回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 札幌教育文化会館（北海道）
• [学会発表] ＋eight family への低分子化合物スクリーニングおよび分子間結合の検討(J-1128) (2012)
  • 著者名/発表者名: 川畑 実香 渡邊学 上野絵美 成島 大智 山崎 薫 野澤 恵里 西出 彩花 木村絵里 山本実加子 松下 智紀 チェンアイリス 菅野 純夫
  • 学会等名: 第71回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 札幌教育文化会館（北海道）
• [学会発表] 伴侶動物の乳癌における網羅的抗癌剤感受性解析(P-1142) (2012)
  • 著者名/発表者名: 木村絵里 渡邊学 萱橋朋子 西出 彩花 川畑 実香 山崎 薫 野澤 恵里 松下 智紀 山本実加子 チェンアイリス 菅野 純夫
  • 学会等名: 第71回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 札幌教育文化会館（北海道）
• [学会発表] NaPA投与による分子間結合変化の検討(P-3078) (2012)
  • 著者名/発表者名: 山本実加子 渡邊学 川畑 実香 上野絵美 成島 大智 西出 彩花 野澤 恵里 山崎 薫 木村絵里 松下 智紀 チェンアイリス 菅野 純夫
  • 学会等名: 第71回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 札幌教育文化会館（北海道）
• [学会発表] マウス乳腺組織を用いた性周期に伴う網羅的遺伝子発現変化の解析(P-3227) (2012)
  • 著者名/発表者名: 松下 智紀 渡邊学 澤井直己 野澤 恵里 西出 彩花 川畑 実香 山崎 薫 山本実加子 木村絵里 チェンアイリス 菅野 純夫
  • 学会等名: 第71回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 札幌教育文化会館（北海道）
• [学会発表] イヌ乳腺腫瘍細胞株を用いた網羅的抗癌剤感受性解析(10-06) (2012)
  • 著者名/発表者名: 萱橋 朋子 渡邊 学 西出 彩花 チェン アイリス 野澤 恵里 山崎 薫 川畑 実香 中川 貴之 望月 学 西村 亮平 佐々木 伸雄 菅野 純夫
  • 学会等名: 日本獣医内科学アカデミー/日本獣医臨床病理学会2012年大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（神奈川県）
• [学会発表] 次世代型シークエンサーを用いたイヌ肥満細胞腫由来細胞株の全ゲノム解析(06-02) (2012)
  • 著者名/発表者名: 川畑 実香 渡邊 学 チェン アイリス 山崎 薫 野澤 恵里 西出 彩花 中川 貴之 望月 学 西村 亮平 佐々木 伸雄 菅野 純夫
  • 学会等名: 日本獣医内科学アカデミー/日本獣医臨床病理学会2012年大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（神奈川県）
• [学会発表] イヌの肥満細胞腫におけるKIT遺伝子変異および病理組織学的分類の予後への影響(12-07) (2012)
  • 著者名/発表者名: 竹内 由則 藤野 泰人 渡邊 学 中川 貴之 高橋 雅 竹内 文乃 盆子原 誠 小林 哲也 大野 耕一 内田 和幸 浅野 和之 菅野 純夫 西村 亮平 大橋 靖雄 辻本 元
  • 学会等名: 日本獣医内科学アカデミー/日本獣医臨床病理学会2012年大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（神奈川県）
• [学会発表] イヌの頭蓋内腫瘍の細胞分化と腫瘍発生に関する病理学的・分子生物学的研究(PL-07) (2012)
  • 著者名/発表者名: 井手鉄哉 内田和幸 渡邊 学 Iris Chen 菅野純夫 中山裕之
  • 学会等名: 第153回日本獣医学会学術集会
  • 発表場所: 大宮ソニックシティ（埼玉県）
• [学会発表] イヌ乳腺腫瘍細胞株を用いた網羅的遺伝子・タンパク発現解析による分子病理の解明(BP-39) (2012)
  • 著者名/発表者名: 萱橋朋子 渡邊 学 西出彩花 Iris Chen 山崎 薫 川畑実香 野澤恵里 中川貴之 望月 学 西村亮平 佐々木伸雄 菅野純夫
  • 学会等名: 第153回日本獣医学会学術集会
  • 発表場所: 大宮ソニックシティ（埼玉県）
• [学会発表] 乳癌細胞株におけるBCG21発現による網羅的抗癌剤感受性の検討(P-1256) (2011)
  • 著者名/発表者名: 西出 彩花 渡邊 学 中村 好孝 チェン アイリス 萱橋 朋子 佐久間 萌里佳 澤井 直己 成島 大智 野澤 恵里 山崎 薫 川畑 実香 菅野 純夫
  • 学会等名: 第70回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場（愛知県）
• [学会発表] NaPA投与による分子メカニズムの検討および新規低分子化合物のスクリーニング(P-1265) (2011)
  • 著者名/発表者名: 川畑 実香 渡邊 学 上野 絵美 チェン アイリス 佐久間 萌里佳 澤井 直己 成島 大智 萱橋 朋子 西出 彩花 野澤 恵里 山崎 薫 菅野 純夫
  • 学会等名: 第70回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場（愛知県）
• [学会発表] 乳癌における+eight familyの癌的性質の分子メカニズムの検討(P-1267) (2011)
  • 著者名/発表者名: 山崎 薫 渡邊 学 上野 絵美 チェン アイリス 成島 大智 萱橋 朋子 佐久間 萌里佳 澤井 直己 川畑 実香 西出 彩花 野澤 恵里 菅野 純夫
  • 学会等名: 第70回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場（愛知県）
• [学会発表] 新規乳癌関連遺伝子MMG10の細胞増殖能の検討およびその分子メカニズムの解明(P-1269) (2011)
  • 著者名/発表者名: 野澤 恵里 渡邊 学 薮本 恵美子 チェン アイリス 澤井 直己 成島 大智 萱橋 朋子 佐久間 萌里佳 山崎 薫 川畑 実香 西出 彩花 菅野 純夫
  • 学会等名: 第70回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場（愛知県）
• [学会発表] 新規乳癌遺伝BCG01における上皮間葉転換(EMT)制御の分子メカニズムの解明(E-2057) (2011)
  • 著者名/発表者名: チェン アイリス 渡邊 学 森 美香子 萱橋 朋子 佐久間 萌里佳 澤井 直己 成島 大智 川畑 実香 西出 彩花 野澤 恵里 山崎 薫 菅野 純夫
  • 学会等名: 第70回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場（愛知県）
• [備考] 東京大学・新領域創成科学研究科・メディカルゲノム専攻・ゲノム制御医科学分野ホームページ
  • URL: http://ssmgs.net/lab/
• [備考] なし