関節拘縮を有する寝たきり高齢者に、それぞれの関節拘縮の程度に合わせたポジショニングを1年間実施した。被験者は5名で、平均年齢は84.5±7.8歳であった。日本リハビリテーション医学会が提唱している関節可動域の最大値を100%とした時の各被験者の関節可動域の割合を算出し、関節可動域の変化を検討したところ、1年後には被験者全員の関節可動域が拡大した。最も変化が大きかったのはA氏で、右股関節外旋内旋運動は介入前と比べて77.8%も拡大した。また、B氏においては体圧分散が改善した。これらの結果から、関節拘縮の維持・改善にポジショニングが有効であると示唆された。一方で、C氏の右股関節外旋内旋運動と左股関節外転内転運動において介入前よりも関節拘縮が悪化したことから、ポジショニングだけでなく、関節可動域訓練などのリハビリテーションを同時に実施していくことが重要であると考えられた。
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