研究概要 |
本研究の目標は, 情報通信や統計の分野に応用を持つ組合せ構造である「アダマール行列」の新たな構成法を提案することであった. 先行研究において, 差集合族と呼ばれる組合せ構造を用いたアダマール行列の構成法が提案されたが, その多くは有限体上のある差集合に起因するものであった. その構成法が他の環上に拡張できることに注目し, アダマール行列と差集合族に関する既存の理論を拡張・進展させることをテーマとして研究した. 特に差集合族の概念の一般化を考えることで, ガロア環上での新たな差集合族の構成法を発見し, そこから新たなアダマール行列の構成法を得ることに成功した. また, 強正則グラフやアダマール型差集合といった他の組合せ構造との関係性についても明らかにした.
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