研究課題/領域番号 |
23K05276
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
青木 智佐 九州大学, 農学研究院, 教授 (20264103)
|
研究分担者 |
和佐野 直也 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (00469850)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 野外鱗翅目昆虫 / 微胞子虫 / Nosema sp. / Cystosporogenes legeri / 野外鱗翅目昆虫個体群 / 交叉感染 / 種多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
微胞子虫類は、菌類の1グループとして位置づけられる偏性細胞内寄生性の単細胞真核微生物で、宿主の約4割が昆虫で占められる。野外鱗翅目昆虫からはさまざまな微胞子虫種が検出されているが、これら微胞子虫は、野外昆虫個体群密度を制御する要因として重要な役割を果たしていると考えられている。 そこで本研究では、野外鱗翅目昆虫における微胞子虫感染と、異なる鱗翅目昆虫種間での交叉感染試験による微胞子虫の病原性・病原力、感染増殖および伝播を調査し、微胞子虫感染によって宿主の野外個体群密度がどのように制御されているのか、また、微胞子虫の交叉感染が鱗翅目昆虫の種多様性を脅かす可能性があるのか、という問いに迫る。
|
研究実績の概要 |
本研究は、野外鱗翅目昆虫個体群における微胞子虫保有率とその多様性、および鱗翅目昆虫種間での交叉感染試験によるそれら微胞子虫の病原性・病原力、感染増殖および伝播を調査することにより、自然宿主個体群での宿主-微胞子虫の関係を明らかにするとともに、それら微胞子虫が非自然宿主の鱗翅目昆虫の種多様性に及ぼす影響を評価することを目的としている。 まず、九州大学・伊都キャンパス(福岡県福岡市西区元岡)とその周辺地域(福岡県糸島市)、群馬県および長野県において、モンシロチョウPieris rapaeをはじめとする野外の鱗翅目昆虫6科約30種を採集した。採集した昆虫個体を滅菌蒸留水中で磨砕し、磨砕液を光学顕微鏡下400倍で観察して微胞子虫胞子の有無を調査した。明確に判定できないサンプルについては、磨砕液からtotal DNAを回収し、マルチプライマーPCR法により微胞子虫を検出した。その結果、3科8種の鱗翅目昆虫に微胞子虫の感染が認められた。モンシロチョウでは、採集地にかかわらず高頻度で微胞子虫胞子が検出され、宿主1個体あたりの微胞子虫増殖率は非常に高いものであり、複数の微胞子虫種の重複感染の可能性も示唆された。 次に、分離した微胞子虫株胞子からゲノムDNAを抽出後、SSU rRNA遺伝子をターゲットとしたuniversal primer pairを用いてPCRを行い、得られた増幅産物の塩基配列データを基に微胞子虫種を同定した。その結果、ナミアゲハPapilio xuthusからの微胞子虫分離株はNosema sp.、ムラサキシジミNarathura japonicaおよびベニシジミLycaena phlaeas由来の微胞子虫1分離株は同じCystosporogenes legeriと同定された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の3項目のうち、①野外鱗翅目昆虫からの微胞子虫の分離、および②分離した微胞子虫の同定について、複数の微胞子虫分離株を得るとともに、それらのうちのいくつかは同定済みである。また、③交叉感染試験に供試するための微胞子虫胞子サンプルを確保し、順次進めることができる状況が整っていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、野外鱗翅目昆虫個体群における微胞子虫保有率とその多様性を探る目的から、①野外鱗翅目昆虫からの微胞子虫の分離、および②分離した微胞子虫の同定を実施しながら、すでに調製済みの微胞子虫分離株については、非自然宿主の鱗翅目昆虫への交叉感染試験を進める。
|