研究課題/領域番号 |
23K17348
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
齋藤 健一 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (80302579)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | 量子ドット / 低次元半導体 / LED / もみ殻 / バイオマス / LED |
研究開始時の研究の概要 |
シリコンを発光体とした量子ドットLEDを開発し,その原料には植物由来のシリカ(SiO2)を用いる。もみ殻の25 %の成分はSiO2,これはガラスである。もみ殻から得た多孔質Siは,強固かつフレキシブルなナノ構造を有することが,先行研究で示されている(もみ殻から得た多孔質Siをリチウムイオン電池の負極剤に用い,高い耐久性を示した)。その耐久性を量子ドットに適用する。そして,我々の18年に及ぶSi量子ドット研究とLED開発の経験と実績を投入し,1)安全・安心・安価,2)高効率,3)高耐久性のSi量子ドットを用い,実用化を見据えた量子ドットLEDを開発する。
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研究実績の概要 |
量子ドットは夢の材料とよばれ,それを用いたTVやタブレットが出回り始めた。しかし,その本格的普及には解決すべき課題(毒性,効率,耐久性)がある。応募者は過去19年間の研究で,世界初の青色発光のシリコン量子ドット(SiQD)ならびにそのLED の開発,もみ殻を原料としたSiQD LED の開発,世界最高レベルの発光効率のSiQDの合成,などを報告してきた。これらの成果を基盤に,本研究ではもみ殻を原料に量子ドットと量子ドットLEDを開発する。具体的には,Siを発光体とした量子ドットLEDを開発し,その原料には植物由来のシリカ(SiO2)を用いる。もみ殻の25 %の成分(2100万トン/年)はSiO2,これはガラスである。なぜ,もみ殻か?その理由は構造にある。もみ殻から得た多孔質Siは,強固かつフレキシブルなナノ構造を有する。もみ殻から合成した多孔質Siをリチウムイオン電池の負極剤に用いると,5倍以上の高い耐久性が,充放電の繰り返し特性において得られている。その高い耐久性を量子ドットに適用する。そして,安全・安心・安価,高効率,高耐久性のSi量子ドットを用い,実用化を見据えた量子ドットLEDを開発する。2023年度では,原料となるもみ殻の粉砕条件を工夫した。また,平行して行った化学合成による手法では,世界トップレベルの発光効率を有するSiQDの合成に成功した。更に,これを発光体としたLEDを開発し,その変換効率も世界トップレベルとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進行している。平行して行っている化学合成では,期待以上の成果が得られている。この手法も本プロジェクトに反映できるため,大変よいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
もみ殻を粉砕し,もみ殻に含まれる1%程の無機物を塩酸で除去する。その後,もみ殻を電気炉で燃焼し,シリカ(SiO2)を得る。このSiO2とマグネシウムを電気炉で酸化還元反応させ多孔質Siを得る。副生成物を酸処理の後,表面を炭化水素で化学修飾する。この手順で,SiQDを合成する。 Si量子ドットの評価を以下の手法で行う。サイズ測定(電子顕微鏡), 発光スペクトル,発光効率測定, 表面構造(XPS,IRスペクトル,NMR測定)により評価する。 Si量子ドットLEDの作製を以下の手順で行う。導電性高分子溶液の塗布による成膜,量子ドット溶液の塗布による成膜,電極の真空蒸着による成膜により作製する。
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