研究課題/領域番号 |
23K23670
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補助金の研究課題番号 |
22H02405 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
土川 覚 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30227417)
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研究分担者 |
稲垣 哲也 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70612878)
馬 特 名古屋大学, 生命農学研究科, 特任講師 (70824316)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
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キーワード | 近赤外分光法 / ハイパースペクトラル画像 / 木材乾燥 / 水分移動 / 有限要素法 / NIR-HSI / X線マイクロCT |
研究開始時の研究の概要 |
分子振動情報を瞬時に直接可視化するスナップショット型近赤外ハイパースペクトラルイメージング(NIR-ssHSI)法によって木材の乾燥過程を詳細に追跡することにより、生材状態から全乾状態まで多岐にわたる木材の水分動態を振動分光学的に明らかにする。 乾燥過程にある木材の内部断面をNIR-ssHSIカメラで撮影し、得られた一連のハイパースペクトラルデータをケモメトリクス的に解析することにより、木材内部の水分体積流と拡散現象を3Dモニタリングするとともに、機械学習に基づいて柱材の最適乾燥スケジュールを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究は、「分子振動情報を瞬時に直接可視化するスナップショット型近赤外ハイパースペクトラルイメージング(NIR-ssHSI)法によって、木材の乾燥過程を詳細に追跡することにより、生材状態から全乾状態まで多岐にわたる木材の水分動態を振動分光学的に明らかにする」ことを目的としている。 初年度の今年度は「木材自然乾燥下でのNIR-ssHSI測定および水分動態モニタリング」を目的とし、拡散方程式に基づく水分移動シミュレーションによって木材内水分移動特性を統一的に理解することを試みた。なおNIR-ssHSIでは特に各画素におけるノイズの特性を評価することが必要不可欠である。そこでまずこのことに注力し、各画素のノイズ特性を把握するとともに、得られた画像を高いS/Nで解析しうるアルゴリズムを考案した。さらに今年度は木材中の水分移動を厳密に把握するために、ヒノキ材の含水率を変化させながらX線マイクロCTおよびプッシュブルーム型の近赤外HISを測定し、これらの三次元画像を有限要素法によって解析することで木材中の水移動を高精度で推定可能とした。得られた一連のハイパースペクトラルデータに基づいて、多変量解析の一種である部分的最小二乗回帰(PLS回帰)から各断面の含水率マッピングを行うとともに、(NIR-HSIが水素結合の変化に敏感であることを利用して)主成分分析(PCA)のスコア画像から木材内部の自由水と結合水分布をマッピングすることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は木材中の含水率および水素結合状況をマッピングすることを目的としていた。これについては予定通りに進捗し、これらの結果をまとめ2報の論文を発表した。さらにNIR-ssHSIのノイズ特性を厳密に把握した。NIR分光法はそのモル吸光係数が非常に小さいため、特にノイズの特性把握が必要となる。にもかかわらずこれらに関する研究発表は少ない。そこで、本研究によってプッシュブルーム型およびスナップショット型の両方でノイズの特性を把握した。この内容についても論文発表準備中であるため、「おおむね順調に推移している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究によって、木材中の含水率および水素結合状況のモニタリングについては高い精度で行うことが可能となった。そこで次年度は乾燥中の木材に対してNIR-ssHSI測定を用いて随時モニタリングを行い、木材中の水分移動に関する知見をさらに充足する。このために器内温度50~80℃、乾湿球温度差0~20℃の条件下で試料を乾燥し、各断面の分光画像から、樹種、温度、湿度、時間を摂動とする拡散方程式に基づいて自由水および結合水の材内移動シミュレーションモデルを構築する。さらに分光画像データから、ピクセルレベルでの寸法変化や割れの定量評価を試みる。また、国際学会で積極的に発表し、情報発信に努める。
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