本研究により英語多読学習用の書籍群へYA文学やクロスオーヴァー文学を組み込み、その翻訳や関連書籍を日本語で読むことを奨励し、読書量の増加しようとする試みは容易ではないことがわかった。ただ2年間にわたり学生の読書傾向を追跡することにより、英語圏で人気のYA文学よりも、むしろなじみ深い「名作」や映画の原作の方が、学生の読書を増加させる傾向、さらには、1年次に多読専用図書以外に手が伸びた学生の多くが、大学入学以前より読書習慣を持っていること、さらには読書が好きでも「忙しさ」を理由に2年目には読書をしていないことなど、大学入学以前の読書習慣を生涯教育へとつなげていくために重要な情報を得ることができた。
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