我々は温熱で収縮し内部に封入された薬剤を放出する温度感受性高分子ポリマーを用い,かつ従来から継続研究している43℃で発熱が自動停止する感温性磁性体を組み合わせた機能性磁性体による温熱療法の開発を目的とし,当該研究期間で以下の成果を得た. 昇温により高分子ポリマーは有意に収縮し,MTX含有薬剤放出性高分子ポリマーでは加温により有意なMTXの放出を確認した.さらに培養細胞実験において,感温性磁性体による自動定温温熱療法と高分子ポリマー放出MTX同等量との併用でも同様の温熱感受性と抗腫瘍効果が確認できた.今後,機能性微粒子を用いた癌治療可能性の追求には,動物実験含めさらなる検討が必要と考えられた.
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