本研究では、『全国消費実態調査』匿名データを用いて変曲点の観点から生活扶助基準について検討した。変曲点とは、所得階層と消費支出をプロットしたときに傾きが変わる点である。分析の結果、変曲点が複数存在したり、存在しなかったりするケースがあることが確認された。求められた変曲点から試算した生活扶助相当支出は、2004年で夫婦子一人(有業者あり)世帯で約10万円から約19万円、単身世帯についても5.9万円から7.8万円と大きく異なっており、変曲点から生活扶助基準を決定する場合は慎重に検討するべきであることが示された。
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