心臓血管系など末梢の生理反応を用いた感情喚起の程度(反応の大きさや持続の程度)は,基準となるベースライン(以下,BL)との差分が評価の対象となる。そのため,BLをいかに測定するかが重要となる。本研究ではBL測定法として,雑誌の黙読(黙読法)の効果について検討した。2つの実験を通じて,黙読法が安静時の血圧の過剰な亢進を抑制すること,主観的にはより積極的な実験参加を促すことが示された。また,感情喚起課題時の反応にも影響を及ぼすことが見出された。実験結果より,BL測定に黙読法を用いることの有用性が示された。
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