本研究は、江戸時代に交通手段の一つとして用いられた駕籠について、木部の技法・材料・構造に焦点を当てて行った研究である。 観察と実測を中心に駕籠を調査した結果、製作に用いられた材料は高級な駕籠の場合は檜が多く、庶民が使用した駕籠には檜の他に桐や杉、竹などが使われていることがわかった。木の接合部には主にほぞ組みの技法が用いられ、竹の加工には曲げの技法がよく用いられる。また、女乗物のような高級な乗物には厚みのある材料がふんだんに使われているが、住職や庶民が用いた駕籠には薄い材料が上手に使われており、当時の職人達の、丈夫で軽い駕籠を作ろうという工夫が見て取れる。
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