配分額 *注記 |
8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
1986年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1985年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1984年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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研究概要 |
ヒトの細胞によって分泌される生理活性物質はほとんどの場合、糖タンパク質である。これまでにこれらのタンパク質のいくつかの遺伝子が単離され、遺伝子工学的手法により大腸菌で生産することが試みられた。しかし、大腸菌で合成されたタンパク質には糖鎖が付加されていず、種々の点で天然のタンパク質とは異なっている。本研究は研究代表者らによって単離されたヒトインターフェロン(IFN)-α,γ,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)遺伝子をウシパピローマウィルスをベクターとしてマウス細胞に導入し、マウス細胞によりヒト生理活性物質を大量に生産した後、精製し、その生理活性を、in vitro,in vivoで研究することを目的とした。 ヒトIFN-γ cDNAはConAにより刺激したヒト脾細胞mRNAからOkayama-Berg法を用いて単離した。またG-CSF cDNAはCSF産生腫瘍(CHU-2細胞)からのmRNAを材料とし、λgt10ベクター系を用いて単離した。 その過程でヒトG-CSFには2種類のG-CSF mRNAがalternative splingの機構により生成されることが判明した。ついでヒトIFNα-5,γ,あるいはG-CSF cDNAの上流にSV40初期遺伝子のプロモーター、下流にグロビン遺伝子の介在配列およびSV40 poly(A)付加部位を配置し、ウシパピローマウィルスをベクターとしてマウスC127I細胞に導入した。その結果、IFNを1mg/ml,G-CSFを10〜20mg/lの高能率で生産、分泌する細胞株がそれぞれ樹立された。 そこでその培養液よりヒトIFN-γ,G-CSFを均一タンパク質として精製した。これらのタンパク質は天然型と同等のN-末端アミノ酸配列をもっており糖鎖を付加されていた。 ヒトIFN-α-5は大腸菌で生産されたIFN-α5とは異なり天然型IFNと同等の抗原性をもつことが2種のモノクローナル抗体の作製により明らかとなった。 さらに精製G-CSFをマウスの皮下に投与したところ、その血中において顕著な顆粒球数の増加を促進し、本因子が生体内で作用することが明らかとなった。
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