研究概要 |
本研究では、我々の研究室で長年にわたり疲労判定法として用いてきたTAFをもとに低価格でコンピュータ化をはかったVRT装置を考案作成した。VRT装置の測定にあたっては、被験者は画面上の点(ターゲット)を、パドルと連動した十字型の照準で追いかけ一致させるよう指示される。コンピュータは0.5秒毎に点と十字の間の距離を計算し、1分間に360個のデータが得られる。これを3回くり返し、得られた値の平均値をVRT-M,標準偏差をVRT-Dと名付けた。 本装置を用いて習熟効果,日内変動,週内変動ならびに類似性について実験検討した結果次のことが明かとなった。 1.分散分析と習熟率により、VRT-Dに習熟効果が認められたが、習熟曲線から判断すれば、VRT-MならびにVRT-Dは5回程度の練習で習熟効果が認められなくなることが示唆された。2.週内変動についての検討では、VRT-MならびにVRT-Dは月曜日が他の曜日よりやや高いが有意な変動は認められなかった。 3.日内変動では、VRT-MおよびVRT-DはCFF値の様な有意の変動は認められなかった。 4.類似性の観点からはVRT-MおよびVRT-Dは、調節近点距離との間で有意な相関は認められなかったが、CFF値,TAF-LならびにTAF-Dとの間で有意の相関関係が認められた。 実際の作業に応用すると、1.2時間のペーパー作業とVDT作業では、2時間の作業では条件間に有意な差は認められなかった。しかし、作業後その差は大きくなりVDT条件で低下する傾向が認められた。 2.照明環境と音環境の複合影響を検討したVDT作業では、作業環境の違いによる変化は認められなかったが、作業に伴う変化の傾向は、VRT-M,VRT-Dともに自覚症状,屈折率,瞳孔直径およびTAFと相関し、VRT-Mでは、CFF値と自発脳波の%α値と相関を示すことが明かとなった。
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