研究分担者 |
山岸 祥恭 静岡大学, 農学部, 教授 (60022042)
阿部 勲 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20024581)
浜田 良三 近畿大学, 農学部, 教授 (60088169)
佐々木 光 京都大学, 木材研究所, 教授 (50027158)
坂田 功 九州大学, 農学部, 教授 (10038169)
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配分額 *注記 |
7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
1987年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1986年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1985年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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研究概要 |
我々は日本国内における主要な木材接着研究者を動員して, 木材構造用接着剤の耐久性に関する多角的・総合的な研究をすすめてきた. 以下に3年間に亘ったこの研究の実績をまとめて報告する. Aグループは接着剤の分子設計, 合成と化学的性質の解析を担当した. 従来から多用されている付加縮合型の熱硬化性樹脂に関する研究に加えて, リグニン, タンニン, さらには溶液化木材を接着剤原料として利用するための基礎的研究を行い, 接着剤合計の反応プロセスならびに硬化物の化学的性質をコントロールすることによって有用な構造用接着剤を開発できる可能性のあることを示した. Bグループは材料物性面からのアプローチを担当し, 各種接着剤の構造・物性を詳細にキャラクタライズした上でそれらの接着特性を評価した. その結果, 接着強さ, あるいは力学的接着耐久性のレオロジカルな特徴が明らかになった. また, 接着系の破壊に関する破壊力学的解析も行い, 破壊じん性と接着特性との関係について基礎的データを集積した. これらを総合して接着耐久性の物理的意義づけを行った. Cグループは木質材料の耐久性と接着耐久性を, 繰返し荷重, 水分繰返し処理, 各種の暴露処理などのような, 比較的実際の使用状態に近い方式で評価するとともに, これに及ぼす接着剤の影響について詳細なデータを集積した. 接着は非常に多くの因子を内包する現象であり, そのメカニズムを解明するためには化学, 物理化学, レオロジー, 破壊力学, あるいはもっと広く, 高分子材料学, 木材工学等々の多くの側面からのアプローチとその総合化が不可欠である. 本研究では木材工業の分野で最も重要な接着耐久性の評価法についてそのような試みを行い, 有意義な成果をあげた. 今後この成果が, 科学的で普遍性のある接着耐久性評価法の確立のための有力な足がかりになるであろう.
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