研究分担者 |
佐藤 和彦 東京大学, 教養学部, 助手 (00090522)
佐藤 公行 岡山大学, 理学部, 教授 (10032822)
村田 紀夫 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (90011569)
井上 頼直 理化学研究所, 主任研究員 (70087592)
折井 豊 京都大学, 医学部, 助教授 (60028149)
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研究概要 |
好気性生物の電子受容体は葉緑体の光化学系【II】で進行する水の4電子酸化によって発生する酸素に依存し、この反応は地球上で量的に最も多い反応でもある。本研究は分子的研究が可能になってきたこの反応に関与する【H_2】O--脱水素酵素の分子的性質を解明すべく組織され、次のような成果をあげた。 (1)反応中心-水の酸化力を供給する系【II】反応中心についてはD-1,D-2,チトクロムd-559から成る複合体が反応中心の反応を行うことが示され、D-1,D-2タンパク質が反応中心であることが明らかとなった。上記3ペプチドと47,43kDaのペプチドの複合体に、表在性33kDaペプチドが結合すると酸素発生が可能となる。 (2)表在性ペプチド,Mn-酸素発生に関与する表在性33,23,18kDaペプチドの精製法が確立され、チラコイド膜への結合が免疫学的方法によって明らかとなった。23kDaペプチドはCaの結合に関与し、18kDaペプチドの系-【II】反応中心への結合に【NH_2】-末端附近のアミノ酸残基が関与する。33kDaペプチドの全アミノ酸配列が決定され、Mnの結合および【S_3】→【S_0】にこのタンパク質が関与することが明らかとなった。【H_2】【O_2】の酸化に必要なMnの結合site数と結合定数が決定され、また、標的分析法でチラコイド膜のMnの結合に必要な分子サイズは65kDa,3kDaであり、2種のsiteのあることが示された。Mnの配位と水の酸化について分子軌道法による解析から2核Mnのつくるミクロ角媒界面モデルが最も実験結果とよく一致した。 (3)Ca,【Cl^-】,反応機構-Z→P680に反応中心当り1原子のCaが【S_1】→【S_2】に【Cl^-】が必要である。【H_2】【O_2】の系【II】膜による光酸化が内光で誘導されるカタラーゼ作用によること、また、チトクロムC酸化酵素の【H^+】とりこみの反応段階が明らかにされた。【Q_Α】,【Q_Β】とFe,Zと表在性タンパク質の相互作用、トリス処理チラコイド膜の光再活性化に電子受容体が必要なことも明らかとなった。
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