研究課題/領域番号 |
60460023
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 理化学研究所 (1986) 北海道大学 (1985) |
研究代表者 |
勝又 紘一 理研, その他, 研究員 (90002104)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1986年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1985年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | ランダム磁性体 / 基底状態 / スプングラス / 異方性の競合 / OAF相 / リエントラントスピングラス |
研究概要 |
本研究では異方性の競合するランダム磁性体及び交換相互作用の競合するランダム磁性体の基底状態を解明することを目的とした。 異方性の競合するランダム磁性体の物質としては【Fe_(1-x)】【Co_x】【Cl_2】・2【H_2】O(FCC2)【Fe_(1-x)】【Co_x】【Cl_2】(FCC)及び【Fe_(1-x)】【Co_x】【Br_2】(FCB)をとりあげた。FCC2における中性子散乱実験より、スピン成分間のカップリングが極めて小さいことが明らかにされた。このような理想的な系は上記物質が最初の例である。FCC2についてザブミリ波・強磁場中で行ったESR実験から、Co-rich反強磁性相において【Fe^(2+)】スピンの局在励起が見つかった。結果の解析よりFeスピンはCoスピンとかなり大きな角度をなしていることが分かった。FCC及びFCBについても同様な研究を行った。これらの結果は異方性の競合するランダム磁性体におけるスピン秩序や基底状態に関する重要な情報を与えている。 交換相互作用の競合するランダム磁性体の物質としては、準二次元強磁性体【Rb_2】Cr【Cl_4】と反強磁性体【Rb_2】Mn【Cl_4】との混晶をとりあげた。作製した混晶【Rb_2】【Mn_(1-x)】【Cr_x】【Cl_4】の単結晶を帯磁率やESRの方法でキャラクタライズした結果、このランダム系は準二次元XY型スピングラスの典型物質であることが分かった。二次元XY型スピングラスの物質はこれまで報告されておらず、これが最初の例である。Cr-rich濃度領域では温度を下げるにつれて常磁性→強磁性→スピングラスのリエントラントスピングラス(RSG)転移が観測された。NMRや中性子散乱実験より、ゼロ磁場冷却したときのSTG状態は強磁性的ドメインと、残りのスピンがゆるやかに方向を変える部分から成っていることが明らかになった。この結果は二次元XYスピングラスの基底状態に関する重要な情報を与えている。
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