研究概要 |
1.岡山県総社市産のペグマタイト中のNaアルバイトを選び,この試料を1N KClの溶液約0.3mlとともに直径3mmの銀チューブに封入し500℃-700℃の条件で500-700kg/cm^2の水熱条件下で加熱し結晶中へKイオンを拡散させた.その結果をX線マイクロアナライザーで分析した.その結果K原子は以下の4種類の拡散様式に分類される. 1)結晶の外縁部からの拡散のみで特徴づけられるもの 2)割れ目を通り結晶の中心部までK原子が侵入する拡散 3)結晶中において特定の部分に局部的に拡散したもの 4)結晶のほぼ半分以上にわたって大きく拡散しているもの このような拡散様式を支配する要因として結晶の異方性,結晶度および格子欠陥の存在がある.格子欠陥はラングカメラにより調べ,結晶表面の蝕像(etching figure)と強い相関があることが判明している.従って格子欠陥は蝕像により調査した. 2.Zrガーネット(kimzeyite)の合成及びその離溶の研究 この研究は上記の結晶の不完全性の応用として行った.水熱合成の場合ガーネットの様な複雑な組成の結晶が晶出する場合,結晶内の拡散が重要でこの場合微量成分の存在が結晶成長に強い相関を持つ.本研究はこの点に注目して初期出発物質に種々の微量成分を加え,結晶度との相関を検討した. 3.水熱合成による結晶の構造解析 水熱合成の場合,結晶の不完全性が著しい場合があり,本研究のものはそれにあたる.これは強度測定に強い影響を与え,しばしば決定された結晶の座標値の誤差を大きくする.本研究に使用した結晶は若干この影響を受けているのでこの点を利用して結晶の不完全性と構造解析の結果との相関関係を議論した.
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