研究分担者 |
日下部 守昭 名古屋大学医学部, 附属動物実験施設, 講師 (60153277)
坂倉 照〓 (坂倉 照よ) 理化学研究所, 真核生物研究室(現在), 主任研究員 (80073120)
田口 修 愛知県がんセンター研究所, 病理学第二部, 主任研究員 (00142167)
児島 昭徳 愛知県がんセンター研究所, 病理学第二部, 主任研究員 (60073136)
|
研究概要 |
高等動物の器官形成とその組織構築の維持は生体機能の正常な発現とその恒常性保持に本質的に関与する考え得る. この課題の解明を目的に以下の2つの実験を1980年以来精力的に行ってきた. 2つの実験大要を以下に記す. 1.個体発生過程を通じて起る組織構築の原則をC_3HとBALB/C両系マウスの胚集合キメラを用いて可及的継続的に検索した. この検索にはC_3Hマウスの各組織細胞に広く分布する68kd蛋白の抗体を作製し, 負疫組織化学的に細胞の分布様式を検べた. 本抗体はBALB/Cマウスとは反応しない. その結果次の結論を得た. (1)少くともキメラマウスの発生過程においてはマウスの正常通りの上は, 間葉相互作用が行われた組織・器官の形態形成が起こる事を確認した. (2)昨年度までにほぼ決定しえたように器官として主な機能を発揮する上は細胞の細胞系譜からみて4種の上皮性組織形成の過程がある事を肱生, 出生直後の幼若期, 成熟期の再検討によって結論ずけえた. しかし器官形成の極めて初期の段階において如何になる機序でこの4種の形成様式が成立するかの詳細な研究は今後の重要な課題であることをここで指摘したい. 2.細胞は咽頭上は由来の上皮性原基に骨髄由来の前T細胞が移動して形成され, しかもこの機序は全生涯を通じて行われている事は周知である. そこでBALB/C等の遺伝背骨をもったヌードマウスにACIラット, ハムスター, ウサギ, モルモットの上皮性細胞のみからなる肱生期胸腺原基を移植してキメラ胸腺を作製した. 移植部位はヌードマウスの腎被膜下とした. この際如何なる動物から胸腺原基を採取して移植してもマウスの正常胸腺構造と相似た像を示し, 皮質・髄質の発育がみられ一見正常なリンパ球の集簇と成熟が起り, ヌードマウスの感染抵抗性はほぼ恒復した. しかし注目されるのはすべての系(採取した胸腺原基の種類にかかわらず)において甲状腺, 性除, 胃粘膜等に自己免疫性を証明できる病疫をみた.
|