研究課題/領域番号 |
60540213
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
久米 潔 都立大, 理学部, 教授 (10086994)
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研究分担者 |
溝口 憲治 東京都立大学, 理学部, 助手 (40087101)
水野 清 東京都立大学, 理学部, 助教授 (40087094)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 有機導体 / ポリアセチレン / 近藤効果 / VSC法 |
研究概要 |
この研究は有機導電体中の近藤効果を検出する目的で始められた。そのために、導電性と局在磁気能率を併せ持つ系としてポリアセチレン中にFo【Cl_3】をドープした試料をえらんだ。近藤効果は電気低抗の温度変化に現れる極小現象で検出されるはずであるが、この試料で測定すると、温度がさがると単調に増大する半導体型の温度変化がでるのみである。これはポリアセチレンのフィブリル構造に由来する。この困難をさけるために、いわゆるuoltage-shorted-compaction法を適用した。この方法では試料の表面に銀ペーストをうすく塗る。これはフィブリル間をショートするためである。観測された温度変化が十分に急激な場合には、これがフィブリル内部の電気低抗温度変化をそのまま表していると考えてよい。実験の結果、温度がさがると単調に減少する金属型の温度変化が得られた。ただし、近藤効果に対応する極小現象は観測されなかった。つぎに、局在磁気能率を持たないドーパントの【A_s】【F_5】とHCLS【O_3】で同様の実験を試みた。この場合は逆に極小現象が実際に観測された。しかしこの場合には局在磁気能率は無いので、近藤効果ではあり得ない。このようにして、近藤効果を検出する試みは成功に至らなかった。ただし、ドープしたポリアセチレンでフィブリル内の金属型温度変化を実際に観測し得たこと、その温度変化は1.9〜300Kの広い温度範囲で【T^2】であることを見出したこと、また極小現象は、ショートされずに残ったフィブリル間の接触低抗によることを定量的に示し得たことなど、ドープしたポリアセチレンの金属伝導の問題に対して極めて有意義な結論を得ることが出来たと言える。
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