研究概要 |
ジオイド高分布が, 標高変化の急峻な地域で短波長undulationを持つかどうかを調べた. 昭和60年度はNNSS衛星二波受信器による放送衛星軌道, 精密衛星軌道測位の比較を行った(Shibuya,1985). 国立極地研究所に測量基準点を設置し(板橋他,1986), その基準点で200パス以上受信しデータを解析するとともに既存データ(南極)との中, 高緯度比較も行った(Shibuya,1985). 昭和60-61年度にかけ, 関東, 東海, 中部山岳地域の適切な三角点と極地研基準点(トランスロケーション基準点)との間でトランスロケーション実験を実施した. 選定点は中部地方日本海沿岸から滝寺, 谷根, 泊山の各三等三角点, 山岳域から富士山頂, 乗鞍岳, 立山の三点, 関東, 東海地域からは筑波, 堂平, 伊豆大島, 富士市の各測量基準点の合計10点である. 放送衛星軌道トランスロケーション法の測位精度を見積るため, 精密軌道による測位との比較を関東ネット(筑波, 堂平, 極地研)での三角同時受信により詳細に議論した(Shibuya and Kitazawa,1986). 一般に精密衛星軌道による緯度, 経度, 高度方向の各測位誤差は2mと言われるが, 放送衛星軌道トランスロケーション法によるとgeometryの良好な衛星パスを10以上同時受信することにより各方向独立に0.5-1mの収束誤差で相対測位が可能なことがわかった(Kaminuma et al.,1988). これは今対象としている地域内での100-500kmスパンのトランスロケーションにおいては基準点の地心座標系での絶対測位誤差を無視し, ジオイド高undulation等の地学的意味を論じられることを意味する. 受信結果の最終的な解釈は慎重を要するが, 当該地域の短波長geoidal undulationh我如古(1982)による日本周辺の重力ジオイドと比較し, 2m以内と思われる(Shibuya et al.,1988). なお今後の方向性としてGPS衛星によるdifferential positioningにより同種の議論が高精度で効率よく実施できると期待される.
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