研究概要 |
現在のコンピュータから次世代のコンピュータへのスムーズな移行と, お互いのコンパチビリティと, お互いの欠点を補い合うために, 次世代コンピュータの一つであるデータフローコンピュータに, ノイマンコンピュータの処理をインプリメントすることを目的に研究を行ってきた. ノイマン処理はコントロールフロー処理を基本原理とした直列処理であり, データフロー処理とは原理が異なる. したがって, 本研究では, データフロー処理とノイマン処理とのインタフェース, 特に両処理間で実行の移動が起こるときのデータと制御の移動方法, シリアルであるノイマン処理をパラレルコンピュータ内に組み込むときに起こる変数域使用の混乱が大きな問題となる. 前者はデータフローコンピュータのトークンの内容をノイマンコンピュータのレジスタとプログラムカウンタに入れることによって, 後者は, データフローコンピュータのカラーの概念をノイマンコンピュータの変数域に拡張し, 変数域をローカル変数域, インスタンス間共有変数域, グローバル共有変数域を定義することによって解決した. 実際のインプリメントは, すでに試作されているデータフローコンピュータDFNDR-1上で行われた. この研究を高級言語の面からサポートする研究も進められ, 単一代入原理による高級言語Pが設計された. 以上の研究より, データフローコンピュータとノイマン処理は, 基本原理が違うにも関わらず融合することが可能であり, これにより, データフローコンピュータとノイマンコンピュータのお互いの欠点を補い合うコンピュータの構成が可能となった. このことは, 現在のコンピュータとのコンパチビリティを保ちながら新世代コンピュータの世界にスムーズに移行するための道が開かれたことを意味している.
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