研究概要 |
既設道路橋には相当年数を経たものが多く, 何らかの損傷の発見が点検により確認される. 特に供用後の適切な維持管理が重要であり, 耐用年間における道路橋の安全性, 信頼性を確保していくためには, 既設道路橋の耐用性診断法を確立することが急務の課題である. そこで本研究は, 既設道路橋の耐用性診断についての概念を示し, 各種診断にいたるための実態調査法とその調査例を示しながら, 耐用性診断の中で重要な位置を占める課題として特に耐荷性診断の方法に関する研究をまとめるものである. まず, 耐用性診断に関する文献収集により, それらについてまとめた一定の診断概念を示し, その中で橋梁のライフサイクル, 耐用年数, 寿命についての考え方も示した. つぎに, 既設橋粱の点検とその点検結果に対する分析法の他, 幾つかの橋粱に対して行った各種実態調査例, 載荷試験, 動的走行試験等の試験調査例を示しながら既設橋粱の実態調査法についてまとめ, 今後の課題について示した. そして, 耐用性診断の中で重要な耐荷性評価法について従来の方法論と新しい方法論の考え方を示し, 一つの提案と例題を示し図的表現法による評価法の有用性について示した. 全体のまとめについては, 今後における各種診断部面の個々の研究の必要性を述べるとともに, 耐用性診断の手順についておおまかな流れ図を示しまとめとしている. 昨今の周辺における同種の研究は種々の角度から検討が進められており, 点検法, 検査法, 試験法, 各種調査法などの実態調査法の開発とともに, 診断に必要な解析や分析法についても種々の考え方が示されるようになってきている. 特に非破壊検査法や試験法などの自動化などの他, 診断法については診断を進めるうえでのツールを知識集約により形成するエキスパートシステムの構築を検討する分野も生まれている. 本報告が今後の同種研究に対しての一助となれば幸いである.
|