配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1985年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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研究概要 |
本研究は, チモフェービコムギのG型細胞質の代わりに, Aegilops kotschyiのS^v型細胞質とAe uniaristataのM^u型細胞質を利用して, 一代雑種小麦育成に役立つ雄性不捻・捻性回復系の開発を目的としたものであるが, 研究の重点を前者のS^v型細胞質の利用においた. 研究は(1)雄性不捻系統の育成, (2)維持系統の育成, 及び(3)3元交配雑種の試作, の3項目について実施した. 1.雄性不捻系統の育成:S^v型細胞質についてのみ研究を行った. S^v型細胞質をもつ完全雄性不捻系統を育成したが, 各世代における完全不捻個体の出現率は0.2〜0.7%と極めて低率であった. 本法によるS^v型雄性不捻系統の育成は極めて困難で, 非能率的であることが判明した. 2.位時系統の育成:スペルタ小麦とClinese Springの交雑に由来するF2世代植物を, 個体別に, S^v及びM^u細胞質をもつ完全不捻スペルタ小麦に検定交雑するとともに, 並行的に自殖を行い, 両型細胞質をもつ雄性不捻系統の維持・増殖のための花粉親として使えるF2系統を4系統確立することができた. 3.3元交配雑種の試作:上記(1)で育成したClinese Springの雄性不捻個体に, ブルガリアの研究者が育成した維持系統"911B"を交配して雄性不捻F1系統を育成した. これに8日本品種を交配して3元交配雑種を作出し, 4回反復の試験区で栽植し, 諸実用形質を調査分析した. 対照として2標準品種を用いた. このうち, ニチリンコムギは穂数・粒数に勝り, 農林61号は千粒重に優れていた. 3元雑種の大部分は穂数・粒数ではニチリンコムギを, 千粒重では農林61号を越えた. その結果, 収量は8組合わせ中, 6組合わせの雑種が, より多収の標準品種ニチリンコムギより多収であった. これら雑種の収量はチモフェービ細胞質利用の一代雑種の収量を大きく越えており, 本研究で開発した不捻・捻性回復系の優秀性を証明した.
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