配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1985年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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研究概要 |
ヘムオキシゲナーゼやP-450はNADPHに由来する2ケの電子と分子状酸素を用いて, それぞれ基質としてのヘムや脂質ヘムの酸素添加を行うモノオキシゲナーゼ反応を触媒している. その場合何れもプロトヘムの鉄の電子状態と酸素の活性化及び基質への酸素分子又は原子の取り込みがおこるのであるが, その詳細は不明である. ヘムオキシゲナーゼ反応ではプロトヘムからα-オキシヘムに至る過程は酵素的に進行するが, それ以後ベルドヘム, ビリベルジンへの過程は自動酸化的に非酵素的に反応が進行する. 高速酸素混合装置を試作し, 酵素反応及び有機溶媒系を用いるモデル反応において, 反応中間体の生成の模様をm-secのオーダーで常温から-10°C迄の低温下で電子スペクトルを観察し, 更に77Kに迄導いてESRを測定した. その結果酵素的に生じたオキシヘムのメゾ位炭素につく水素基は容易に脱プロトン化してエノレートイオンを形成し, 更に中心鉄へ-電子分子内転移を行い, 鉄2価のポルフィリンπ-中性ラジカルを生じ, メゾ位炭素に隣接する炭素に, 電子密度が高くなることが計算され, そこに酸素の添加がおこり, 893nmに一過性に吸収が現れる. このFe(II)-ラジカルを77KでESRをとるとFeI価と極めて類似のESR像が得られる. P-450反応に於いて, S^-+Fe^<2+>-O_2→S・Fe(I)-O_2→S・Fe〓→(FeO)^<3+>を考え反応中間体としてFeI価に近いものが現れるのではないかと予想して, プロトヘムーn-ブチルメチルカプチドを用いて実験を行ったが, ESRではFe(II)価の低スピン状態を観察するに止まりFe(I)価の状態は認められなかった. Fe(IV)=Oを思わせる438, 555, 583nmに吸収を持つスペクトルが得られ, これはS・FeII-O_2^〓→Fe(IV)=Oを形成するものと考えられる. 本研究に試作された高速酸素混合装置は, プロトヘム→α-オキシヘム生成の反応やその他の有機溶媒系を用いる化学反応の中間代謝産物の電子スペクトル及びESR測定に極めて大きい効果を持つことが判明した.
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