研究分担者 |
山川 修治 筑波大学, 地球科学系, 助手 (00183674)
安成 哲三 筑波大学, 地球科学系, 講師 (80115956)
小林 守 筑波大学, 地球科学系, 講師 (10153644)
西沢 利栄 筑波大学, 地球科学系, 教授 (90062512)
河村 武 筑波大学, 地球科学系, 教授 (20111362)
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研究概要 |
(i)平均として2°C昇温する場合の考察を行う. ただし, 季節により1.5〜2.5°Cの範囲をとる. 冬が大で夏が小とする. 地域的には北日本で大, 南日本で小とする. (ii)降水量は変化がないか, 20%, 40%減などの場合を仮定する. 以上のシナリオによって, 気候状態, 農林水産物生産, エネルギー消費水資源・水需要の4本の柱について研究を行った. 結果は次の通りである. a.冬型気圧配置の出現回数は温暖期(1941〜1980年)の方が, 寒冷期(1901〜1920年)より多い. これは, 北半球規模でみた冬の季節風が温暖期に発達すること, 日本海側の冬の降水量・積雪量が温暖期に多いことなどとともに極めて注目すべきことである. b.中部日本の局地高気圧は発達しなくなる. 東北地方三陸沿岸のやませは, 他の気候現象の長期傾向とは異なる. 有効積算気温は上昇し, 4000°C(カンキツ類の北限)は東北地方南部に達する. 東北地方の米作は増収となるが, 日照時間が減少すると現在との差ははっきりしない. 北海道の米作は増収となる. 大豆・小豆なども雨が多くならなければ増収となる. 水産資源では, サンマは漁期が長くなるので増収となる. ワカメは噴火湾では増収だが, 他の海域では変化が少ない. c.都市のヒートアイランド強度は弱くなる傾向にある. しかし, 都心での気温の絶対値は高くなるので, 熱帯夜の日数は増加し, 真冬日の日数は減少する. 干ばつは, 西日本では降水量が減少すると考えられるので, ひどくなる. 水不足量も顕著になり, 特に暖侯季の雨が40〜50%減少すると, サトウキビの被害が大きくなる. d.蒸発散量は約9%増加し, 水過剰量は約11%減少する. 生活用水と工業用水の使用量は2〜3%増加する. 都市では特に深刻な問題となる. 最後に今後の問題点を展望した.
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