研究概要 |
1.ZPAの増殖因子について (1)器官培養方によって, 肢芽のZPAから増殖因子が出て, これに前端部の組織のみが反応して, 増殖促進, 軟骨形成促進が起こることを明らかにした. (2)肢芽を前後軸に沿って四部域に分けて, それぞれの解離細胞をZPA組織片と混合培養すると, 前端部の細胞に対して高い増殖促進効果が見られ, 後方へ移るに従って効果の減少が見られた. つまりZPAの増殖因子に対する反応能について, 前部で高く後部で低い勾配が見られた. 一方肢芽前端組織片には, このような増殖促進能は認められなかった. (3)このような反応能の勾配の有無を既知の増殖因子について調べた結果, FGF(繊維芽細胞増殖因子)の場合に, 同様の結果を得た. これは, ZPAの増殖因子がFGFである可能性を示唆している. (4)局所投与実験や実際に肢芽内の濃度を計った実験から, ZPA因子がレチノイン酸である可能性が高くなってきたので, レチノイン酸の増殖因子としての作用を調べてみた. その結果, 先端部(進行帯)の細胞においてのみ, 増殖促進効果が認められた. また軟骨形成促進効果も認められた. 2.肢芽特異的および肢芽の部域特異的タンパクについて 肢芽特異的タンパクL-1を見つけた. このタンパクの肢芽内分布の特異性については現在検討中である. 3.肢芽の部域特異的抗原AV-1について ニワトリ胚肢芽の部域特異的抗原AV-1は分子量130KDの糖タンパクであることが明らかになった.
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