61年度の調査結果の分析を進めると共に、62年度は松山市に転出した愛媛県柳谷村西谷地区からの離村者の調査を行なった。 松山市における中久保集落出身者の住居に関する調査では、中久保集落の独特の住居形式である同棟二世帯型住居様式が、松山市内の住宅にも一階と二階の平面として立体的に再現されていることが明らかになり、大変興味深い結果が得られた。 また都市に転出した後継者79名が帰村する頻度については毎月頻繁に帰村する後継者が全体の28%あり、年に1〜2回以上帰村する後継者を含めると全体の8割が帰村頻度に差があっても、母村と密接な関係をもっている。 調査を通じ、山村二拠点型の生活類型の特性が明らかになった。全体の56%をしめる母村密着型については大きく2つに分かれ、経営の多角化の努力を続け、山村維持の主体となるべき集団と、高齢者で日雇労務等に従事する集団とに分化している。また全体の38%をしめる母村拠点広域型の家族については、一戸当りの保有林面積規模が大きく、都市部と山村部との往復及び連絡が密である。またこのうち高齢者については夏山冬里型の生活類型がみられる。都市拠点型は調査対象の6%をしめ、ほとんど松山で生活している人々であり、世帯主年齢は比較的若い。母村にはほとんどいないが住居の管理、田畑・山村の管理を通勤林業的に行っているのが特徴であり、山村における集落社会運営についても常会や共同作業や祭事等に通ってきて参加するという形態をとっている。 以上、これら都市・山村二拠点型の生活の存在及びその特性を明らかにすることができた。
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