研究概要 |
Aspergillus ficum No.9の〓培養から調製した粗酵素を, DEAE-Sephadex A-50カラムで分画し, CMCを分解せずアビセル及びセロオリゴ糖を糖化する画分及びCMCとアビセルを分解せずセロオリゴ糖を糖化する画分とを分取し, 次いでSephacryl.s-300カラムで電気泳動的に単一と認められるまで精製し, それぞれセロビオヒドラーゼC1及びセロビオヒドラーゼCxと名づけた. セロビオヒドラーゼC1は分子量が128,000, 至適温度50°C, 至適pH5.0で, アビセルに吸着能を示した. セロビオヒドラーゼCxは低分子量(50,000)で, アビセルに対し吸着能及び分解能を示さなかった. しかし, 両酵素は免疫的に相同性を示した. 精製された二種のセロビオヒドラーゼ(IとII)を用いて, セロトリオース, セロテトラオース, セロペンタオース及びセロヘキサオースに作用させ, その産物を高速液体クロマトグラフィーによって経時的に定量した. その結果, 両セロビオヒドラーゼともexo型作用を示した. また, セロビオヒドラーゼIでセロトリオース及びセロペンタオースに作用させたところ, 中間産物, セロテトラオースが検出されたので, セロビオヒドラーゼIはグリコシルトランスフェラーゼ活性を有することを示した. また, セロビオヒドラーゼIはNaBH4によって還元されたセロトリオースに作用したとき, 中間産物セロテトラオースが見い出されなかった. これによりセロビオヒドラーゼIはグルコースを転移するのに還元末端を必要としている. 両セロビオヒドラーゼは非還元末端からセルロースを厳密にセロビオース単位に切ることが明確となった. N-ブロモ クシイミドでセロビオヒドラーゼIを酸化したところ, セロビオヒドラーゼIのアビセラーゼ活性は失活したが, アビセルに対する吸着能は残っていた. その結果, セロビオヒドラーゼIには糸状菌アミラーゼと同様に, アビセルに対する親和部位と活性部位が共存することが示唆された.
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