研究概要 |
本研究は光周波数差が一定でかつ位相が同期した光源のアレイにフーリエ光学的手法を適用した新しいタイプの多機能, 複合機能をもつ高速光信号合成, 処理システムを開発することを目的として行った. まず, 理論的考察を行い, 本システムがピコ秒領域の高速光波形合成(光シンセサイザ), 任意波形超短光パルス発生, 周波数域マルチプレクサ, 時間域マルチプレクサ, 光信号シリアルパラレル変換等多種多様の機能をもつことを解明した. 次に小形, 実用性のより優れたものとして, 光源にダイオードレーザアレイを用いるべく, 半導体レーザの定周波数差位相同期(コヒーレントオフセット同期)をデジタル制御, アナログ制御より行った. 結果として, ビート周波数を参照信号の周波数に30kHz以内に固定することに成功したが, 短時間領域での瞬時周波数変動が大きく, 位相同期を得るには残念ながら至らなかった. またこれと並行して, 大変調指数の電気光学位相変調によりサイドバンドを生成し, これを用いて, 信号処理部, 合成部の設計, 構成, 動作テストを行った. 新開発のLiTaO_3変調器により, 700GHzにおよぶ超広帯域のサイドバンド生成に成功(電気光学変調では世界最高)し, これをもとに周波数領域での選択, フィルタリングにより, 高速光波形合成, 任意波形超短光パルス発生, 周波数域マルチプレクサ, フーリエ変換の動作確認を行った. その結果, 数+GHz・繰り返し(最高75GHz)の2〜8psパルス生成に成功(いずれも電気光学的に生成した光パルスとしては最高速, あるいは最短の部類に属する), さらに, 制御性は十分と言えないが112ギガビット/秒のPCM用ワード発生にも成功している. 以上のように結果としてはシステムの動作確認に成功し, 世界に誇れるものがいくつも得られた. 今後, より実用性の高いシステムの開発へと進めたい.
|