配分額 *注記 |
7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1987年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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研究概要 |
イノシトールリン脂質代謝亢進を介する細胞内情報伝達系のシグナルは、ホスファチジルイノシトール4,5-ビスホスフェイト(PIP_2)のホスホリパーゼによる分解で生じたイノシトール1,4,5-トリスホスフェイト(IP_3)やジアシルグリセロール(DG)によって発生する。よってホルモンや神経伝達物質の作用の強さを規定する重要なfactorはシグナル発生脂質であるPIP_2と2ndメッセンージャーたるIP_3とDGである。しかしこれらの物質は超微量の為定量が不可能であった。我々はPIP_3の抗体を作成し、抗体を利用しての定量法を考えた。PIP_2の抗体はリボソーム中にPIP_2を結合させたもので免疫した。血清中の抗体価をELISAでチェックし、脾臓を取り、ミエローマ細胞と融合させた。各々更に抗体価をチェックし、limiting dilutionを行い、モノクローナル抗体を得た。抗PIP_2抗体の特異性を調べたところ、非常に特異性が高くPIP_2とのみ反応し、PIP、PI、IP_3とは反応しなかった。一方抗IP_3抗体の場合、特異性はそれ程高くなく、1,4,5-IP_3、1,3,4-IP_3、1,3,4,5-IP_4の間に免疫交叉性が見られた。その際1,4,5-IP_3の方が1,3,4-IP_3、1,3,4,5-IP_4よりも10倍高い親和性を示した。しかし特異性に関しては未だ不十分であり、新しいクローンを探している。抗PIP_2抗を使ってPIP_2微量定量法を確立した。PIP_2は脂溶性の無水溶液中ではミセルを形成し、通常のラジオイムノアッセイは不可能であった為TLCイムノステイニングによる方法をとった。まず細胞(1×10^6)よりPIP_2を抽出し、TLCで展開した後抗PIP_2抗体をかけて発色させTLCスキャナーでスキャンした。本法は20pmol〜1nmolという微量のPIP_2を定量でき従来の無機リン定量法に比して1,000倍感度が上昇した。
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