研究概要 |
本研究は, 埋立跡地を有効に利用するために, (1)埋立跡地の安定化を評価する物理・化学・生物的な指標を確立する. (2)(1)に基づいて, 埋立跡地の管理手法の体系化を計る, その目的として, 廃棄物専用大型試験機を用いて埋立廃棄物の物理特性を明らかにすると同時に, 埋立地浸出液の環境変異原生についても検討を行った. その結果, 得られた知見を以下に示す. 1.廃棄物専用大型試験機(内径30cmのモールド使用)を用いる事により, 埋立廃棄物の物理特性を把握でき, 埋立跡地への物理定数の適用が可能である. 2.1の実験結果から, 現存の埋立地の地盤強度定数C, φが各々0.25°Cであると求められた. 3.埋立廃棄物中のプラスチック混入率が15%を越えると埋立地盤強度は低下し, 跡地利用は難しいと予想された. 4.変異原活性は, 埋立地浸出液の生物影響を内包した総合的な水質指標として有効である. 5.埋立地浸出液中に変異原物質が存在する場合があり, その変異原物質はプラスチックなどに含まれる可塑剤の一種である事がGC-MS分析結果により示唆された. 6.変異原性を有する試料では共通して, TLC(薄層クロマトグラフィー)上に特異的なスポットが検出され, 浸出液における変異原性の簡易試験法としてTLC法が適用できる可能性がある. 以上の結果より, 廃棄物の埋立地は合成化学物質を含んだ人工地盤である事が明らかとなった. 更に, 従来の物理化学指標に変異原生等の生物学的指標を加える事により, 「都市生態系における埋立地の位置付け」を明らかにし, 環境保全上安全な跡地利用計画を策定することができるものと思われる.
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