研究概要 |
平成元年度において,乳腺で特異的に発現するマウスホエ-酸性蛋白(mWAP)遺伝子のプロモ-タ-領域とヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子の構造遺伝子領域とを連結したmWAP/hGH融合遺伝子(4.6kb)を,受精卵前核にDNAを注入する方法によって導入したTgマウスを得た。ついで,それらの子孫をとり,雌マウスが10週令時に達した時点で,通常の雄マウスと交配し,妊娠,分娩させ,分娩10〜12日目に,手製のマウス用搾乳器で乳汁を採取した。一方,哺乳中のTgマウスから,血液や乳腺組織を採取した。平成2年度では,採取した試料について,乳汁及び血中のhGH濃度を,ELISA法により測定を試みたが,測定感度等に問題があったため,信頼すべき結果が得られなかった。そこで,測定法をRIA法に変更し測定した。その結果,最初に得られたTgマウスの2匹において,血中hGH濃度がヒト血中濃度の3〜5倍を示した。現在,乳汁中のhGH濃度について測定準備中である。一方,乳腺組織におけるmWAP/hGH遺伝子の転写レベルでの発現を調べるために,乳泌中の乳腺組織からmRNAを抽出し,ノ-ザン法によって解析をすすめている。現在,種々の試料について測定をすすめている段階であるため,結論的な結果を得るに到っていない。しかし,本年4月下旬頃には,全ての試料の解析を終了する予定である。今後は,当Tgマウスを駆使して,異所性組織におけるホルモンの分泌機構についても解析をすすめる計画である。さらに,導入する遺伝子の構造遺伝子として、成長ホルモン遺伝子以外のものについても検討する計画である。
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