研究課題/領域番号 |
63480164
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
杉村 和久 北海道大学, 免疫科学研究所・化学部門, 助教授 (80127240)
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研究分担者 |
済木 育言 (済木 育夫) 北海道大学免疫科学研究所, 化学部門, 助手 (80133776)
東 市郎 北海道大学免疫科学研究所, 化学部門, 教授 (50028411)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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キーワード | )Mycoplasma arginini / リンパ球増殖阻止因子 / アルギニンデイミナ-ゼ遺伝子 / アルギニン代謝 / 自己免疫疾患 / MRLマウス / 過活性化B細胞 / LBIF / LBIF遺伝子 / 細胞内情報伝達機構 / サイトカイン / 細胞増殖 / 細胞周期 / IL-2レセプター / U937 / 増殖抑制 / 免疫制御 |
研究概要 |
1987年、ヒトのマクロファ-ジ様細胞株U937の培養上清に新しいリンパ球増殖阻止因子、LBIFを同定し、その分子構造と作用機序の解析を進めた。以下にその結果を要約する。 1.本抑制因子、LBIFはU937細胞に感染したMycoplasma argininiが産生するアルギニンデイミナ-ゼ(EC3・5・3・6)であり、分子量45,000の一本鎖ポリペプチド、等電点pI4.5の蛋白分子である。 2.本抑制因子をコ-ドする遺伝子クロ-ニングが達成され、その全塩基配列および推定されるアミノ酸一次配列を明らかにした。 次にこのアルギニンデイミナ-ゼを用いた免疫抑性の分子機序の解析結果を要約する。 全身性自己免疫疾患はB細胞の過活性化を特徴とするが、その分子機序は依然として不明である。本研究ではヒトの全身性エリトマト-デス(S L E)疾患モデルマウス(M R L)の病因について調べた。その結果を要約すると、 3.MRLマウスで発生する内因性のB細胞過活性化はr鎖陽性B細胞に選択的に起こっており、Lーシトルリン代謝が異常高進している。 4.正常リンパ球はLーシトリン代謝は全くできない(ヒト)かきわめて低い(マウス)活性しか示さない。この代謝により生成されるLーアルギニンはリンパ球の増殖と抗体産生を濃度依存性に増強する。 これらの結果は本疾患の病態とよく一致していることが注目され、疾患モデル動物に認められる加齢により疾病の進展、また食事療法による劇的な発症予防効果をきわめて明解に説明する。この知見は、臓器特異的自己免疫とは異なり、全身性自己免疫疾患の病理はリンパ球に選択的に発生する先天性の代謝異常である可能性を示唆した。以上、本研究はヒトのSLEの病理に新しい見解を提示する成果をあげた。
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