研究概要 |
高田らは、抗ヒトC9モノクロナ-ル抗体を用いた酵素抗体法を用いてC9の微量検出定量法を開発し、この方法を用いて、従来報告されてきたC9欠損患者の血清中のC9を再検討し、微量のC9も検出されない事を確認した。(Takata etal.J.Immunol,Method,117:107,1989)このC9欠損血清を用いて菌の免疫殺菌反応を調べて見ると、C9欠損血清の量に応じて大腸菌E.coli B/SMを殺した。C9欠損血清の免疫殺菌作用は、ラビット抗C5ポリクロナ-ル抗体により完全に阻害されたがマウス抗C9モノクロナ-ル抗体では阻害されなかった。この抗C9抗体で前処理した正常血清による大腸菌に対する殺菌作用は、C9欠損血清による殺菌作用のレベルまで低下した。抗リゾチ-ム抗体で前処理したC9欠損血清と正常血清による大腸菌に対する殺菌作用は影響が見られなかった。又、C9欠損血清存在下で生き残った菌はC9の成分を加えると殺されるが、C9成分以外の外の因子リゾチ-ムや鉄結合能力をもつトランスフェリンによる影響は見られなかった。大腸菌のE.coli B/SM以外のstrain K12,W3110,C600,NIHIのstrainでもC9欠損血清によって殺菌された。しかし、下痢患者から分離された病原性の菌株に対しては、C9欠損血清でも、正常血清共に殺菌作用は見られなかった。以上の結果から、C9欠損血清でも、グラム陰性菌、特に、roughな大腸菌株をリゾチ-ムの関与なしに殺すことが出来ることを明らかにした。すなわち、補体成分C1からC8までの成分で大腸菌を殺すことを明らかにした。
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