研究概要 |
(1)胃癌組織内のestrogen receptor(ER)のDCC法による検討及び庶糖密度勾配法による胃癌ERの特異性の検討:Borrmunn3型または4型である26例について、DCC法にて胃癌細胞核分画とサイトゾ-ル分画のERを測定し、4例のサイトゾ-ルと1例の核分画にER陽性を認めた。サイトゾ-ル陽性2例のERで、progeoterone,cortisol,testosterone,DHT,DES,E_2ー17βを加え、胃癌のERの特異性を検討した。DES、E_2ー17βで特異的に胃癌のERをblockした。 (2)胃癌組織内のER・PgR(progecterone receptor)の局在及びER、PgRと胃癌の予後との検討。モノクロナ-ル抗体ER、PgRを用いて免疫組織学的に検討した。ERの陽性率は29.0%、PgRは10.3%であった。ER陽性例は若年者女性、scirrhous癌に多かった。10年生存率ではER陽性群では15.7%、ER陰性群では62.7%と両者の間に有意の差が認められた。次にPgRの検討でも、陽性群では18.2%、同陰性群では48.3%と有意に陽性群で予後不良であった。 (3)スキルス胃癌に対するタモキシフェン(TAM)投与による内分泌療法 胃癌の治癒切除群にTAMを投与し、TAM投与群で術後1500日生存率66.0%、非投与群で53.0%であり、TAM投与群の方が予後良好であった。非治癒切除群でもTAM投与群で36.9%、TAM非投与群で15.4%、治癒切除群と同様の傾向であった。 (4)スキルス胃癌に対する黄体ホルモン(MPA)の基礎的・臨床的検討。 KATOIII培養株にMPAを投与したところ10^<-6>〜10^<-7>Mの濃度で抑制的に働いた。スキルス胃癌6例に投与し、生存の延長を認めた。 胃癌、特にスキルス胃癌ではER、PgRが存在し、かつERは生温活性を有している。又、内分泌療法に効果を認めたというよりスキルス胃癌の増殖は女性ホルモンにより、影響をうけていると考えられた。
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