報告者は86年度に一年間、88年に2ヶ月間、国際協力事業団から、91年には文部省から2.5ヶ月派遣されて、私費では90年に2週間、91年に2ヵ月訪タイし、タイ国のスラタニ、ペブリ、パナコ-ン、チェンライ各教員養成大学で、理科教育を指導し、マイクロコンピュ-タ-のセミナ-を開き、タイ国の理科教育制度や教員養成制度の研究をし、必要な助言をタイ国教育省にすると同時に、日本の教育大学がどのように協力してゆけるかを研究してきた。タイ国内での活動に基づきタイ教育省で計画された「教員資質向上計画」は日本からの教育行政の専門家の派遣による評価研究を経て、新プロジェクトとして実現しつつあり、本報告者の再度の派遣が内定している。 この研究の目的は、この様に収集した情報や文献を整理し、まとめ、日タイ理科教育国際協力の具体的方策を、タイ国及び日本の関係者に進言し実現し、最終的には、タイの教員養成大学の向上を計り、日本の教育大学との協力体制を作ることにある。 タイ国に派遣中には指導が第一となり、研究活動は二次的にならざるを得なかったし、タイ国教員への指導が直接、学術論文の形で実らないため、日本的な基準で業績はあまり上がっていないが、日・タイ間国際協力には貢献したと自らは評価している。コンピュ-タ-教育関係では数度にわたる派遣でタイ国教員養成大学のマイクロコンピュ-タ-ハ-ドウェア-関係者との協力確立し、平成3年度の派遣はコンピュ-タ-教育の専門家としての派遣されることになった。共同研究関係では、スラタニ、パナコ-ン、チェンライ教員養成大学に、途上国でも行え、しかも学術研究といえる研究課題と設備を備えてきた。次は彼らが自ら研究業績を挙げて行く段階である。平成3年度の派遣では、学会の設立と雑誌の発行を促して行く予定である。
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