配分額 *注記 |
10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2017年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2016年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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研究実績の概要 |
本研究課題では、臨床的にも重要な悪性上皮性腫瘍である胃腺癌の進行・移転という“機能”と形状ゆらぎや運動の時空間パターンとの相関に着目した。当該年度は進行性の高い癌細胞2株について、Eカドヘリンで機能化した表面への接着実験を行った。また、細胞と細胞外基質の接着モデルとして、インテグリンで機能化した表面への接着実験を行った。平均二乗変位を用いて細胞運動を解析し、癌の進行と運動の活発化が定量的に相関することを明らかにした。また、細胞の自発変形をパワースペクトル解析で評価したところ、癌の進行に伴って自発変形によるエネルギー散逸が単調増加することを解明した。これらの結果は癌化に伴い代謝経路が嫌気性の糖代謝に切り替わり多くのエネルギーを消費するというWarburg効果との対応が考えられる。現在論文投稿の準備を進めている。 外部因子(ケモカイン)が細胞の変形と運動に与える影響についての数理モデルとして、太田隆夫(A01班・佐野グループ)と共同研究を行った。太田らの自走粒子の運動方程式に実験で得られた摩擦(移動度)と周期的に変形する力を組み込んだモデルを新たに構築し実験と比較した。変形と運動の非線形カップリング項を考慮することで実験結果を定量的に再現できることを明らかにした(投稿中)。疾患状態にある細胞に化学誘導因子や臨床薬が与える効果をエネルギー散逸のような「動的表現型」とその数理モデルでパターン化するという新しい流れを提案し、発表した(Monzel,.. Tanaka, Scientific Reports (2018))。 一方、この研究で得られた着想をもとに、フッ化炭素直鎖分子の気液界面単分子膜が示す強い非線形粘弾性の解析を行い、その成果を発表した(Mielke,.. Yoshikawa, Krafft, Tanaka, Langmuir (2018):計画班吉川との共著論文)。
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