公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
細胞集団における3次元形態の新生においては、細胞間接触によって誘導される細胞の一方向的な運動、さらにそこから出現する集団的な回転運動が知られているが、走化性などの他の要因とあわせて接触依存性がどのような変形や運動をもたらしているのか、回転がいかにして利用され、3次元形態につながるのか多くが未解明である。本研究では、多細胞による3次元的組織形成の溯源的な例として、細胞性粘菌の集合塊(マウンド)上端の頂端(tip)構造の形態形成に注目した。頂端は予定柄細胞が集まり、その周りを予定胞子細胞が支えるように配置される。この仕組を理解するため、マイクロ流体デバイスによって走化性誘引物質の濃度勾配を制御し、細胞間接触と走化性によって誘起される運動の連動を解析した。具体的には、初年度得られた知見をもとに、細胞間接着分子TgrB1とTgrC1がいかに運動方向の制御しているか、精製タンパク質をもちいた解析をおこなった。マイクロ流体デバイスを用い、定常的なcAMP勾配を形成し、移動体期の細胞を解離し、予定柄細胞、予定胞子細胞を細胞型特異的マーカー遺伝子で識別しながら、走化性遊走を想定した。その結果、予定柄細胞、予定胞子細胞は、ともに単独ではcAMPへの走化性を示した。また、精製TgrC1をコートしたビーズへ接着すると、接着依存的に細胞前端が誘導され、極性形成を示した。一方で、これらのシグナルを直交する軸で同時に与えた場合、予定胞子細胞はTgrB1/C1依存的な極性形成を優先するのに対し、予定柄細胞はcAMPへの走化性を優先する性質があることが示された。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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