公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
光の照射により蛍光スイッチングを示すジアリールエテン分子と新しい光励起法を用いて、微小領域における構造や物理的・化学的情報を可視化する超解像蛍光顕微鏡法を創出することを目的とした。今年度は、蛍光スイッチングジアリールエテンの光応答特性(吸収・蛍光スペクトル、光反応量子収率、耐久性)に対する置換基効果について検討した。ベンゾチオフェンジオキシドを骨格とするジアリールエテンについて、末端フェニル基に電子供与性置換基を導入すると、吸収・蛍光スペクトルが長波長シフトすることを見出した。特にジメチルアミノ基を有する分子では、開環体の吸収帯が可視域まで長波長シフトするため可視光の照射による閉環異性化が可能であり、異性化により生成した閉環体は赤色の蛍光を示した。可視光による蛍光スイッチングと赤色蛍光はバイオイメージングにおいて有効と考えられる。また、末端フェニル基に電子供与性置換基を導入すると、光照射による副反応が抑制され、光照射に対する耐久性が向上する傾向が認められた。このような高耐久性蛍光スイッチ分子は、長時間の超解像蛍光イメージングや、長時間の単一分子トラッキングにおいて有効と考えられる。光反応量子収率に対する反応点置換基の効果についても検討した。反応点にネオペンチル基を導入すると、吸収・蛍光スペクトルは大きく変化することなく、光開環反応量子収率が増大することを見出した。反応点に適切なアルキル置換基を導入することで、光開環反応量子収率を合理的に制御できる可能性が示唆され、異なる原理の超解像蛍光顕微鏡法に適した蛍光プローブ分子を合成するための分子設計指針に関する知見が得られた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 2件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
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