研究実績の概要 |
宇宙の真空構造と暗黒物質(DM)の解明のため(未知の)弱い相互作用をする暗黒物質模型に焦点を絞り、DM の直接観測と間接観測、LHC 実験での新物理直接探索、フレーバー物理からのDM 模型の検証を行った。昨年度の研究を基に、単純化された暗黒物質模型((1)とする)と具体的な素粒子標準模型の問題点に基づいた模型((2)とする)を構築し、その中で暗黒物質に関する物理とフレーバー物理に特に焦点を置いて研究した。 (1)近年、LHCb実験やBファクトリー実験のフレーバー物理に関する観測量で素粒子標準模型からのズレが報告されている。そのズレに関して新物理の可能性を研究するだけでなく、背後に暗黒物質が存在する可能性を考え、論文(PRD96,no.7, 075041(2017), JHEP1902,194(2019))にまとめると共に、日本物理学会並びに国際研究会において、現在の進展状況を報告した。さらには物理学会誌の2019年3月号で最近のフレーバー物理に関する進展に関し報告した。 (2) 暗黒物質の可能性は数多く考えられている。その存在と素粒子標準模型の謎との関連を研究するため、具体的に問題点を改善する模型を構築し暗黒物質候補を探索した。具体的には、電弱相互作用のスケール起源とstrong CP問題を解決する超対称性LR模型を構築し、暗黒物質の候補を指摘し、レプトンのフレーバー物理による模型の検証方法を論(JHEP1811,046(2018))で提案した。近年では超対称性模型のない場合の模型の構築と暗黒物質の実現を研究しており、2019年3月の学会で結果を公表した。
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