研究概要 |
大量の映像データを対象とし,実世界の多様な情報資源がもつ意味構造に沿って関連付けたうえで再編纂して提示するための方法論を検討した.実際には,ニュースコンテンツ及び料理コンテンツという2つの具体的な対象を想定して,意味構造解析,関連付け,提示方法について実証的に検討した.その結果,従来テキストのみで表現されていたコンテンツを映像と関連付けることによりマルチメディア化し,分かりやすくすることに成功した. ニュース映像の再編纂に関して,まず,事前にニュース映像アーカイブ中の映像につき,過去の研究成果に基づいて話題の遷移を表現したトピックスレッド構造を抽出しておいた.一方,実世界に存在する様々な情報,特に世論調査の内閣支持率などの指標に注目して,これらに基づいてニュース映像の再編纂に取り組んだ.ニュース映像中に素材となる映像が多く含まれると考えられる,歴代総理大臣の在任期間中の出来事を要約した映像を編纂する方法を検討した.まず,実世界情報として世論調査の内閣支持率を手がかりとすることで,重要な出来事の発生期間を絞り込む.次に,トピックスレッド構造の末端(構造の開始点または修了点)であるか,トピックスレッド構造上のニュースの出現密度を考慮して,期間中の重要ニュースを検出する.最後に,評判分析により得られたニュースの肯定度合・否定度合に応じて,支持率の上下に一致したものを選択する.また,利用者の立場に応じて,肯定的・否定的ニュースの選択方法を調整することで,適応的に要約映像を編纂できるようにした. 一方,料理映像の再編纂に関しては,料理番組映像中の繰り返し動作を正確に抽出し,Closed-caption情報を用いて索引付けする方法を検討した.その結果,再現率77%,適合率87%の精度で繰り返し動作の抽出に成功し,また69%の精度で,設定した動作への分類に成功した.
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