研究領域 | フォトクロミズムの攻究とメカニカル機能の創出 |
研究課題/領域番号 |
21021019
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
網本 貴一 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (60294873)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2010年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2009年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | フォトクロミズム / 有機化学 / 光物性 / 有機結晶 / 構造・物性 |
研究概要 |
ニトロ基の励起状態プロトン移動(ESPT)に基づく新規・高性能フォトクロミック系を創出するとともに、ESPTによって発現する有機結晶の光機能性を幅広く探索した。 (1)ニトロ基結合型有機色素の結晶フォトクロミズム この系には、光着色体が多色性と熱安定性を持つこと、フォトクロミズムの発現には分子間プロトン移動が深く関与していることなど、従来のT型フォトクロミック有機結晶には見られない特徴がある。これらの特徴は、ESPTによる構造変換では色調変化のバラエティに乏しく逆反応が容易に進行してしまうという、これまでの常識を覆すものである。 (2)結晶フォトクロミズムの発現における乱れ構造の重要性 フォトクロミックなN-サリチリデンアニリン類結晶中に静的乱れ構造が存在する場合があることを昨年報告した。この発見を踏まえ、静的乱れ構造を誘導することによってフォトクロミック結晶を形成させることを試みた。N-(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1-アミノアダマンタンは、tert-ブチル基とアダマンチル基というかさ高い置換基を分子骨格の両端に結合させたことによってイミン部位にかなりの隙間が確保され、2種類の乱れ構造が1:1で結晶格子中に存在する。この結晶は太陽光の元でも高い感受性を示すフォトクロミック結晶となることがわかった。 (3)結晶フォトクロミズムの発現における包接結晶化の有効性 N-サリチリデンアニリン類をデオキシコール酸が形成するクラスレート結晶格子内に包接させることによって、フォトクロミック結晶を選択的に得ることができる。この手法をN-フェニルアミノトロポン類に適用したところ、トロポン誘導体で初めて結晶フォトクロミズムを発現させることができた。このことは、包接結晶化の手法がESPT有機色素のフォトクロミズム発現に適用可能であることを示している。
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