研究概要 |
本研究では、ケト-エノール光異性化が可能な新規フォトクロミック化合物を多数設計・合成し、それらの結晶中および溶液中でのフォトクロミック特性を調べるとともに結晶中での分子の動的構造変化の詳細を解明することを目的とする。平成22年度の成果は以下の通りである。 (1)2, 6-ジホルミルフェノール誘導体の結晶フォトクロミズム: ケト-エノール互変異性化が可能な2, 6-ジホルミルフェノール誘導体を各種合成し結晶状態でのフォトクロミック特性を調べた結果、立体的に嵩高いt-Bu基が置換した誘導体のみがフォトクロミズムを示すことが明らかとなった。X線結晶解析を行い、結晶構造とフォトクロミズムとの関連を明らかにした。 (2)スチルベン骨格を含むキラルシッフ塩基マクロサイクルの合成とフォトクロミズム: 光学活性1, 2-ジアミノシクロヘキサンと4, 4'-ジホルミルスチルベンとの[3+3]環化縮合反応を用いて、スチルベン骨格を持つ新規のキラルシッフ塩基マクロサイクルを合成し、それらの溶液中およびゲル状態でのフォトクロミズムを検討した。キラルシッフ塩基マクロサイクルのCHCl_3溶液に光照射(365nm)するとトランス体からシス体への光異性化が進行した。また、キラルシッフ塩基マクロサイクルのベンゼンゲルへの光照射でゲルからゾルへの相変化が観察された。
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