研究領域 | 量子液晶の物性科学 |
研究課題/領域番号 |
22H04461
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野瀬 佳文 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80436526)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 非相反応答 / スピン / 非相反性 / 熱輸送現象 |
研究開始時の研究の概要 |
キラリティや強誘電性などの空間反転対称性の破れと強磁性などの時間反転対称性の破れが共存した場合には、光吸収や電気伝導度などが電流・光などの方向の正負によって異なる非相反性と呼ばれる現象が現れる。本研究では、非相反応答やその逆効果を利用してTb酸化物における熱整流効果や金属らせん磁性体における磁気キラリティ依存現象を開拓する。
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研究実績の概要 |
本研究では、非相反応答やその逆効果を利用して熱整流効果やらせん磁性体における磁気キラリティ依存現象を開拓することを目的としている。本年度は、まずマルチフェロイックらせん磁性体であるYタイプ六方晶フェライトBaSrCo2Fe11AlO22においてマイクロ波の非相反性を開拓した。配向多結晶試料に電極を取り付け、強誘電分極の方向や磁場を変えながらマイクロ波応答を測定した。その結果、マイクロ波の伝搬方向によって吸収が異なる非相反性を観測した。この非相反性は磁場や電気分極の符号を反転すると逆になる性質があり、外場によりコントロールできる特徴を持つ。非相反性の大きさは300Kで11%、200Kでは28%にも達している。このようなコントロール可能な非相反性が室温でも十分に観測できたことから、将来のマイクロ波通信の高度化に寄与できる可能性もある。一方で、様々ならせん磁性体における磁気キラリティ制御も行った。らせん磁性体MnAu2薄膜における磁気キラリティ制御を行い、制御されたキラリティを非相反伝導によって観測した。さらには、高電流密度のパルスを用いてキラリティをスイッチすることも達成した。この物質のらせん磁性の転移温度は335Kであり、室温でも十分にキラリティ制御が可能となっている。さらには、他のらせん磁性体EuP3におけるキラリティ制御と観測も行った。現在のところキラリティ制御を示唆する予備的なデータが得られている。これらの結果はらせん磁性を利用したスピントロニクスへと発展する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BaSrCo2Fe11AlO22においてマイクロ波の非相反性やMnAu2におけるキラリティ制御が達成できているのでこのように評価した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きらせん磁性体EuP3のキラリティ制御やMnAu2の非線形電流効果などの研究を進める。加えて、磁気弾性結合が強いTbイオンを含み大きな熱流非相反性が期待できるマルチフェロイックTb2(MoO4)3の研究を行う。
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