公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
当初の計画通り、大腸癌、乳癌に焦点を当て検討を行い、下記のような成果が得られた。1.大腸癌昨年度に確立した測定条件をもとに、大腸癌原発巣から樹立したcancer tissue-originated spheroids(CTOS)を対象として、高解像度質量顕微鏡解析を行った。多段階質量分析まで行った結果、CTOS辺縁部にはアラキドン酸含有フォスファチジルイノシトール(PI)(18:0/20:4)が高度に発現していることが明らかとなった。しかし、そのような知見は、ヒト大腸癌細胞株HCT116、DLD-1から形成されたスフェロイドにおいては認められなかった。さらに、大腸癌組織切片に対して質量顕微鏡解析を行った結果、PI(18:0/20:4)は浸潤先端部の癌細胞で強く検出された。以上より、PI(18:0/20:4)をはじめとするアラキドン酸含有PIは、浸潤をはじめとする大腸癌進展機構に関与していると考えられた(論文投稿中)。2.乳癌フローサイトメトリー法を用いて、ヒト乳癌原発巣組織よりCD44(+)/CD24(-) 癌幹細胞(CSC)分画とCD44(-)/CD24(+) 非癌幹細胞(NSCC)分画を、専用スライドガラス上に分取し、二次イオン質量分析技術を用いて、一細胞質量顕微鏡解析を行った。多段階質量分析まで行った結果、CSCではNSCCに比べ、パルミトレイン酸が少ないことが明らかとなった(Waki et al, Biochimie 2015)。同分子は、そのシグナルがCSC細胞接着面で均一に認められたため、細胞膜リン脂質由来であると考えられた。本研究から、一細胞レベルでの質量顕微鏡解析は、癌組織における特に脂質分布の不均一性の解明に有用であると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 謝辞記載あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (30件) (うち招待講演 11件) 図書 (2件) 備考 (2件)
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