本研究によりヒッグス粒子の性質に関し多くの事実が判明した。素粒子が質量を獲得する機構は標準模型の柱の一つであり,誕生直後の宇宙の相転移やその後の長い年月をかけた宇宙進化の根幹に関わる重大な要素である。本課題の実験結果からヒッグス粒子と関わる粒子の種類,世代の謎を解く鍵が明らかとなり,人類の自然科学に対する認識レベルを大きく前進させることができた。一方,超対称性などの探索からは新粒子は未発見であり,標準模型を超える物理がより重い領域に存在するであろうことが示唆される。ここで得られた実験結果,理論研究から,暗黒物質の候補となる新物理を絞り込めたことで次世代の研究にとり大きなインプットとなる。
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