計画研究
本研究の目的は、染色体不安定性の背景にある染色体OSの病理的変化の解明である。これを達成するために、細胞の細胞周期制御が破綻する過程にともなって変化しうる染色体構造についての情報を、細胞生物学的およびゲノム学的手法により多層的に収集し、それをもとに、染色体不安定性の背景・誘因にあることが想定される染色体構造の解明を進める。平成27年度は、基盤となる実験系の確立を進めた。1)がんの発生から進展においては、細胞の細胞周期制御が進行性に壊れると考えられるので、その過程を再現するアッセイ系を正二倍体細胞である網膜色素上皮細胞にがん関連遺伝子を導入・破壊することによって作成した。得られた細胞周期制御が壊れた細胞株では高度に染色体不安定性を獲得していることが確認された。現在、染色体不安定性の獲得において主要な意義をもつセントロメア構造のゲノム情報の取得を可能とするために、ここで作成した実験系をベースとして、ニワトリの線維芽細胞を用いた実験系の構築を進めている。2)染色体数の増減後の急性期における、染色体構造の変化を解析するために、分裂酵母において任意の染色体の異数性を誘導するin vivoアッセイを改良した。具体的には、条件的に発現する部位特異的組換え酵素への核内移行シグナル付加によるDNA組換え効率の向上と、パーコール密度勾配遠心による異数性細胞の培養液からの濃縮を行った。さらに、動原体因子Cnp20の染色体標的化による人為的動原体形成誘導の条件検討を進めた。
2: おおむね順調に進展している
計画した実験に着手し、実験系の構築が順調に進んでいる。顕微鏡のセットアップも予定通り進めた。
染色体不安定性と関連した染色体構造の経時的変化を体系的に捉えるための細胞系を完成させる。特にセントロメアのゲノム情報を取得するための実験系の開発を行う。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 6件) 図書 (1件) 備考 (3件) 産業財産権 (1件)
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